ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「そして明日の朝食はホテルの最上階にある和食のみせ「金山田」の最高級階席万円コースだ!!」

チコ「無理でしょう」

ムーン1「無理です!」

ミハイル「とうとう降参かっ!」

チコ「そうではなくてお金を工面して料理を持ってこさせたら金山田が商売をすることになりますよ。」

ミハイル「なら金山田は商売してもいいことにする。」

チコ「適当というか無茶苦茶だなぁ。」

そして翌日

ムーン1「どうぞ」

用意された懐石5万円コースの朝食。

ミハイル「どうやった!」

チコ「それが金山田に3人送り込んで一か月タダで皿洗いをするかわりに料理を運ばせたんです。」

ムーン1「つまり労働力を提供したわけです。」

ムーン2「商売ではありませんし労働力は物じゃないから物々交換でもありません。」

ミハイル「エメラダ国民は労働を禁止だ!!うわーそうするとムーンたちを働かせられなくなって僕が困るー!!」

ムーン1「殿下!いい加減にしてください!」

ムーン2「殿下のために頑張ってるのにどうして邪魔をするんです!」

ミハイル「お前たちの勝ち誇ったような笑い声が気に入らんのだー!!」

ムーン1「勝ち誇った笑いと言うと……」

「「ハッハッハッハッ」」

ムーン2「これか」

チコ「確かに勝ち誇ったというか満足気というか無駄に幸せそうな笑いではありますね。」

ムーン1「幸せ?」

チコ「どうかしました?」

ムーン1「殿下の座右の銘は?」

チコ「他人の不幸は蜜の味」

ムーン1「そうだ、殿下は他人の不幸そうな顔を見るのが大好きだ。なのに僕たちが満足気な幸せそうな態度をしているからイライラしてるんじゃないか?」

ムーン2「ということは」


そして翌日、全身雨風に濡れて道具もボロボロのムーンたちが殿下の前にやってきた。

「「ただいまもどりましたぁ…」」

ミハイル「なんだみんな疲れてるな」

ムーン1「今日も釣りに行ったんですが時化で全然つれないし濡れるし寒いしでたいへんだったんです~」

ミハイル「たいへんだったのか」

ムーン2「たいへんを通り越して辛くて苦しくて、もう死にそうです~」

ミハイル「うむ、確かにみんな不幸そうな顔をしている。それならいい!はっはっはー!」

チコ「結局なんの騒ぎだったんですかコレ……。」
19/100ページ
スキ