ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「なんなんでしょうか」

ムーン1「ケチも極まったなぁ」

ムーン2「しかし泣く子と殿下には勝てない」

チコ「どうします?」

ムーン1「なんとかしよう」

チコ「なんとかって……」

ムーン2「どうするんだ海に行っても肉は無いぞ」

ムーン1「クジラはどうだ?」

ムーン2「これからクジラをとりにいって今夜に間に合うと思うか?」

ムーン1「無理だな」

チコ「そうだ。海に肉は無くても、山にならありますよね。」

ムーン1「狩りか。ライフルを」

ムーン2「待て、弾丸も一発いくらの代物だ。公的なお金を使うと、あとで怒られるかもしれない」

ムーン1「じゃあどうする?」

ムーン2「裏の竹やぶへいって竹を切りだしてそれで弓矢を作って……」

チコ「厄介ですねぇ…」

そして、その夜、夕飯の準備が整いミハイルを呼んだ。

ミハイル「なんだこれは」

チコ「うさぎ肉の煮込みと鴨のローストです。新鮮なお肉ですから美味しいですよ。」

ミハイル「食費を使ったんじゃあるまいな」

ムーン1「とんでもない。われわれがこの弓矢でとったんです。」

ミハイル「……」

ムーン1「とったんです!」

ミハイル「わかったわかった。」

ムーン2「弓矢で狩りをするのは初めてでしたが思いのほかうまくいきまして」

ムーン1「自慢するわけではないですが、ハッハッハッ」

ミハイル「……(くそ~。こいつらの勝ち誇ったような顔を見るとどうにもしゃくに触るなんとかして困らせてやりたいが……)」

チコ「(なんか悪いこと考えてる顔してるなぁ)」

ミハイル「(そうだ!自分たちでつくったり自然界から調達できないものをリクエストすれば)エメラダ商店街のお菓子屋はまだやってるかな」

チコ「ええ、商店街は夜九時までですから」

ミハイル「あそこにゴバディのチョコレートがあった。あれをデザートに食べたい。(さあ、どうする)」

ムーン1「いってこい」

ムーン2「ラジャー」

数分後、いわれた通りチョコレートをテーブルに並べる。

ミハイル「えっ、こんな簡単に手に入るはずが……食費をつかったな!」

ムーン2「使ってません!」

ムーン1「お菓子屋のご主人が魚好きなのを知っていたので干物を持っていって交換してもらったんです」

ムーン2「ハッキリ言ってこのリクエスト楽勝でしたね。」

「「ハッハッハッ」」
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