ー日常ー街の住人達【7】

ー常春の国エメラダ:ミハイル山ー

ミハイル「拳銃をどうしろと……」

すると、今度は背後のしげみがガサガサと揺れて何かが飛び出してきた。

兎『……』

身体や顔に無数の古傷を負った兎がものすごいスピードで走り抜けていく。

ミハイル「なんだやけに人相の悪いウサギだ」

「くそーっ!」

ミハイル「ん?」

そのあとからは猟銃を持った男が悔しそうな顔で出てきた。

狩人「やっと親の仇の殺人兎を見つけたのに弾丸が切れた!」

ミハイル「……」

狩人「あっ、少年、拳銃を持ってるな!親の形見の猟銃だこれと交換してくれ!」

ミハイル「いいですよ」

狩人「待てー!父の仇ー!」

ミハイル「今度は猟銃か」

「そっ、それは!」

ミハイル「どなた?」

骨董商「失礼しました!あたくし通りすがりの骨董商ですが、それこそ探し求めていた幻の名銃!歴史的にも非常に価値のあるものなのです!」

ミハイル「へーえ?」

骨董商「無理なお願いとは思いますがこれと交換していただけないでしょうか!マリー=アントワネットが断頭台の露と消える直前まで身につけていたブローチ!」

ミハイル「構いませんが」

骨董商「受けてくださる!ありがとうございます!ありがとうございます!」

ミハイル「なんというか……わけがわからなくなってきた」

顧客「殿下?」

ミハイル「おやこれは」

顧客「どうしても、あの一輪挿しが忘れられなくてもう一度お願いしようとやってきたのですが道に迷ってしまって、何をお持ちで?ああっ!それは去年のオークションでフランスの骨董商に競り負けたマリー=アントワネットのブローチ!私のゴッホと交換してください!」

ミハイル「ええっ?!」

顧客「値段的にはゴッホのほうがずっと高いがしかしそれがあれば私のジェリーコレクションが完成するのです!」

ミハイル「いいですよ」

顧客「本当ですか!さっそく本国からゴッホを取り寄せます。」

ミハイルは懐から携帯電話を取り出して電話を掛けた。

ミハイル「……もしもしベッドの買い主さん?ベッドとゴッホを交換しませんか?」

『ゴッホ!それならいいですよっ!』

ミハイル「ではゴッホが手に入り次第おくりますからベッドの方をよろしく」

『わかりました!』

ミハイル「こっ、こっ、この手は使える!!」

その日からミハイルは一本のロープをもって林の中で立ってました。

さて、ここで問題です。

ミハイルが全部の調度品を取り戻すのにどれくらいの時間がかかったでしょう。
15/100ページ
スキ