ー日常ー街の住人達【7】

ーロンドン:大使館ー

ミハイル「どうしても!!」

コトー「どうしても!!」

ミハイル「なら……奪い取れ!」

「「うおーーっ!」」

チコ「ええっ!?」

ミハイルの令でムーンたちは一斉に飛びかかるがコトーが軽く杖を振るとなぜか皆あらぬ方向に散ってしまう。

「「つかまえられません!」」

ミハイル「拳銃もってるか?」

ムーン1「武官ですからいちおう」

ミハイル「足を狙え!」

腰から拳銃を抜いて間髪入れずに発砲。しかしやはり杖を振ると弾丸がずれて壁に着弾した。

コトー「転ばぬ先の杖といっただろう!この杖をふればどんな災難からも逃れられるのだ!」

ミハイル「くそっ物理攻撃は通用しない!そうだ諺には諺だ!杖柱!」

コトー「むっ!?」

手に持っていた杖が震え出したと思うと突然巨大化して天井まで伸びて柱となった。

ミハイル「杖とも柱とも頼むという諺だ!杖が柱になったんだ!こう大きくては振り回せないだろう!」

コトー「大は小を兼ねるっ!」

ミハイル「なにっ!?」

柱になっていた杖が縮み元のサイズに戻って再びコトーの手に戻った。

コトー「ワーッハッハッ!諺はこっちがプロだ!」

ミハイル「くっ、くそ!(まてよ!杖とはいってももとは木の棒なんだから!)」

チコ「あっ殿下!」

ミハイルは突然走りだして表へと飛び出した。そして藪の前に立つと……杖がにゅっと生えてきた。

ミハイル「藪から棒!どうだタダで転ばぬ先の杖を手に入れたぞ!」

コトー「棒に振る!」

ミハイルの持っていた杖がフッと消える。

コトー「努力が無駄になるという諺だ!どんなに努力しても貴様らに勝ち目はない!あきらめて杖を買え!さもなければ諺難で皆殺しだ!」

「「殺されるー!」」

ムーン1「殿下、買いましょう国家予算からなら一億円くらいすぐ出せます!」

ミハイル「一億円も払うくらいなら死んだ方がましだー!」

チコ「こんなときまで何言ってるんですかー!」

ミハイル「僕はお金が大好きなんだー!あ、五円拾った。」

チコ「こんなときでも……もはや芸ですね…」

コトー「うわーーっ!やられたーー!」

バオンっと爆発してコトーが消え去ってしまった。

チコ「えっ……消えた?」

ムーン1「いったい……」

ミハイル「そうか!助けたんだ!」

チコ「なにがです?」

ミハイル「だから、芸が身を助けたんだ!」

「「えーーっ……」」

ミハイル「悪魔だったのか…それとも悪い魔法使いか何かだったのか、それはわからんがいずれにしても諺をあやつる。能力で金もうけをたくらむ悪どい奴だったのはたしかだ。」

チコ「顔からして悪そうでしたもんね。」

ミハイル「しかし苦労して稼いだ金も結局アイツの役に立たなかったろうな」

チコ「なぜです」

ミハイル「猫をかぶった奴だけに……猫に小判」

チコ「本当に最後までわかったようなわからなかったような……」
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