ー日常ー街の住人達【7】

ーロンドン:大使館ー

市(シティー)で商談を済ませたミハイルが帰ってきました。

チコ「話がまとまってよかったですね。」

ミハイル「値引きしたから一見損したようだが数が売れたから結局は得だ。これがいわゆる損して得とれだな」

チコ「ですね」

ミハイル「おや?」

ムーン1「どかしました?」

ミハイル「向こうから猫をかぶった奴が来る」

ムーン1「ええっ遠目でそんなことが分かりますか?」

ミハイル「だってほら」

ミハイルが言った通り猫をかぶったスーツの男が歩いて来て通りすぎていった。

ムーン1「変わった方ですね。」

チコ「ロンドンではああいうのが流行ってるとか?」

ミハイル「季節の変わり目にはおかしな奴が出てくるな。うん?」

チコ「こんどは何ですか?」

ミハイル「なべのフタが落ちている」

ムーン1「どうするんです」

ミハイル「大使館の台所で使うんだ」

チコ「なべのフタくらい買いましょうよ……。」

ミハイル「いいから拾え」

ムーン1「やれやれ。あ、ダメです。ふたの下に犬のンコがあります。」

ミハイル「洗えば使える」

チコ「やめろっ!!」

ミハイル「誰かが臭いものにフタをしたのかな」

ムーン1「なんなんでしょうね。」

などと言いながらロンドンの大使館の前まで辿り着いた。すると植えられている樹林が風もないのにガサガサと揺れたかと思うとドテッと何かが落ちる。

猿『ウキッ!キッヤキャッ!』

ミハイル「猿が木から落ちた」

チコ「どうしてロンドンの真ん中に猿がいるんですか」

ムーン1「ペットが逃げたかな?」

ミハイル「いや、問題のポイントはそこじゃないと思うぞ」

ムーンL「あーあ」

猿に気を取られていると大使館からやたら汚れたムーンが近づいてきた。

ミハイル「なんだその汚い格好は」

チコ「あれ、なんか甘い匂いが……」

ムーンL「戸棚の整理をしてたらこんなものが落ちてきたんです。」

差し出された手に盛られているはあんこでつつんだモチ。

ミハイル「棚からボタモチ」

コック「あいたたた」

ミハイル「お前は何だ!」

コック「ぬか床を混ぜてたら指に釘が刺さっちゃいました。」

チコ「なぜ糠床に釘が?」

コック「ナスの色が良くなるんだよ。」

ミハイル「糠に釘!なんだこれは!なぜ、こんな諺みたいなできごとが続くんだ!」
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