ー日常ー街の住人達【7】

ー平尾:ビストロ温泉ー

ドガンッと打撲音とともに大笑いが聞こえてくる。

『ざまをみさらせ!ワッハッハッ!』

マリア「ゾウを殴り倒したみたいですね。」

お熊「さすがは魔導士」

そしてバオーンと布のなかから魔導士が飛び出してきた。

魔導士『ふははははっ!』

おおよそ人間らしからぬ巨体に真っ赤な髪、口は耳まで裂けていてサメのような牙が覗いている。どう控えめに見ても白魔導士とはいいがたい。

マリア「お熊さんどうみてもいい方の魔導士にはみえませんよ!」

お熊「何言ってるのひとを見た目で判断しちゃだめよ!」

白魔導士『助けてもらった礼として三つの願いをかなえてやろう』

お熊「ほらいいひとよ!」

マリア「本当ですか!」

白魔導士『嘘じゃ!!』

「「ええっ!?」」

魔神『白魔導士に千年も閉じ込められていいかげんムカムカしとるんじゃきさまらのはらわたを食って精をつけてあいつにしかえししてやる!わしの栄養になることを栄光に思え!』

マリア「きゃー!予感が当たったぁ!!」

猛禽類のような爪がマリアへと伸びるが数センチのところで動きが止まる。

魔神『ぬっ!?』

よく見ると布からゾウの鼻が伸びてきて魔神の身体を絞めていた。

マリア「ゾウ!!」

逃げようとする魔神だがブンブンッと振り回されて逃げれそうにない。

魔神『うわあああはなさんか!』

マリア「今だ!」

マリアは布をひっつかむと魔神の頭へかぶせた。そしてクイクイと押し込んでいく。

魔神『わー!なにをするー!』

必死に暴れて抵抗するが身体はゾウに絞めつけられながら引っ張られ、さらにマリアに押し込められて布はスポンジが水を吸うよりもはやく魔神をすいこんでしまった。

そして後には布だけが残って……。

マリア「たっ」
お熊「たっ」

「「助かったー!!」」

ドタバタとその夜はようやく終わり。次の日、また店へとやってきたガリオンに昨夜起こったことをすべてを話した。

ガリオン14「ハッハッ、そうかいそんなことがあったのかい」

お熊「あやうくはらわたを食べられるところだったわよ」

ガリオン14「そいつは迷惑をかけたなまた話のタネに面白いものを持ってきたんだ。おわびのしるしにプレゼントしよう。」

マリア「なんですか?」

ガリオン14「なんでも消せる壺だ」

「「もって帰れ!!」」

奇怪な事件は続きます。
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