ー日常ー街の住人達【7】

ー平尾:ビストロ温泉ー

マリア「ありあとやんしたー!」

深夜二時、最後のお客が帰っていって、初の売上集計。

お熊「48万円か。初日でしかも安いメニューばかりなのを考えればまあまあかしらね。」

マリア「これから少しずつ高いメニューも加えていきます。」

お熊「頼むわよ。なんとか一日百万まで持っていきたいですからね。」

マリア「ところで、この風呂敷どうするんです?」

お熊「そうそれ!生ごみよ!」

マリア「お熊さん、自分のことをそんなふうに卑下しちゃいけませんよ。あ、ヒゲじゃなくて産毛でしたっけ」

お熊「何の話かわからないんですけど」

お熊が顔中に青筋立てているので目を合わせないようにする。

マリア「(ちがったかな)」

お熊「まあいいわ。おマリちゃん相手じゃ喧嘩する気にもならないわ。」

マリア「それで生ごみとは?」

お熊「ようするに生ごみを始めとしたごみ処理に使えるのよ。」

マリア「ああっ」

お熊「ゴミ問題は気になってたのよね。食材のあまりや様々なゴミが大量に出るのは目に見えている。でも自分たちで処理するのは大変だし業者に頼めばお金がかかる。だけどこの風呂敷があれば」

マリア「ゴミを包んで消してしまえますね。」

お熊「ザッツライト」

マリア「それは明るい」

お熊「ちがうけどまあいいわ。時間もお金もすごく節約できるのよ。ガリオン14は本当にイイモノを持ってきてくれたわルンルルン♪」

ご機嫌なお熊とは対照的におマリは風呂敷を渋い顔で見つめていた。

マリア「……原理も由来もわからないこんな布を信用していいのかしら。もしかしたらこれもこの「奇怪な場所」に引き寄せられてきたのかもしれない。厄介なことが起きなきゃいいけど。」

という不安はありながら明日の仕込みも早いので二人は床につきました。

ところが……
ドッ、ドドッ、ドドドッ、ドドドドドドドドッ!

パッオーーーン!!

「「!!」」

振動と鳴き声に二人は飛び起きて音が聞こえたし場所へと駆けました。

その場所は……例の風呂敷が置いてある部屋。

お熊「聞いた!?」

マリア「ええ、確かに巨獣が走り回る足音とパオーンと」

お熊「でも静かね」

マリア「変ですね。」

風呂敷は折りたたまれたままで微動だにしていないし、当然ゾウも闊歩していない。

お熊「二人して同じ夢を?まさかね」

マリア「気のせいでしょうか」
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