ー日常ー街の住人達【6】

ー平尾:ビストロ温泉ー

マリア「機械的なアプローチはどうでしょう」

お熊「機械的?」

マリア「ラジコンの船に料理を乗せて運ぶんです。それなら私はずっと厨房にいられますし珍しいから評判になるんじゃないでしょうか」

お熊「ラジコンの操作は誰が?」

マリア「もちろんわたしが」

お熊「一隻じゃ足りないでしょう。複数の船をお客様やテーブルにぶつからないようにコントロールするとなったらラジコン操作にかかりきりになるわ。お料理をつくってるあいだは目が届かないわけだし」

マリア「あっそうか。コンピューター制御では?」

お熊「ものすごく複雑なプログラミングが必要になるわね。時間もお金も半端でなくかかるわよ。」

マリア「これもだめかぁ」

あーでもないこーでもないと夜明け近くまで意見を交わし合った二人でしたが

お熊「もうダメ。頭がボーッとなってきちゃった。寝不足は美容の大敵よ。あとは明日の事にしましょう。」

マリア「そうですね。おやすみなさい。」

お熊「グッナイ」

というわけでお熊さんは3階エステルームのとなりの自室へ、おマリは厨房わきの戸棚の中へ……。

戸棚の中に布団が敷いてあるのです。

しかしなかなか寝付けません。お湯の抵抗を何とかできなければお店をオープンしたところていきなり暗礁に乗り上げるのが目に見えているからです。

悩めば悩むほど目が冴えてしまい。眠れない時はホットミルクがいいだろうと厨房へと向かいました。しかし冷蔵庫に牛乳がなかったのでコンデンスミルクをあたためお店の外で飲み始めました。

マリア「あー夜風が気持ちいい。これであったかいミルクを飲めば……甘~~っ!!」

「こんばんわ」

マリア「どきーーーっ!わぎゃー!ひ---ほーーー!ふひゃーーっ!」

投げ上げたカップを一回転してキャッチしつつ悲鳴をあげて距離を取る。

「面白い芸をもってますね。」

マリア「なんだお前は怪しい奴だ!」

ローブの者「ほほお、わたしのどこが怪しいのです。」

マリア「みるからにあやしいし夜中にいきなり人に声をかけるのも怪しい!」

ローブの者「夜中にコンデンスミルクを飲んでるのも相当怪しいですよ。」

マリア「それはまあ置いといてちょうだいな。」

ローブの者「けっして不審人物ではありません。わたしはただの通りすがりのおふだ売りです。」

マリア「オフダウリと言うとやっぱりマクワウリの仲間か何かで」

御札売り「マクワウリもカラスウリもスズメウリも関係ありません。」

マリア「スズメウリは知らなかったなぁ。」
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