ー日常ー街の住人達【6】

ー東京:広尾ー

マリア「あのー相手が相手ですから魔除けお札か何かの方が」

お熊「消極的ねぇ。……あったわ、通販で買った幸福を呼ぶ梵字ペンダント。魔除けになるそうよ。」

マリア「これでいいです。」

お熊「それじやあいくわよ。レディ……ゴー!」

天幕をバッとめくってお熊は先陣を切る。物陰に身を潜めて隅々まで目を光らせる。

マリア「おぉっ」

戦闘経験のある人は身体のこなしが違う……と思いつつ温泉付きビストロで儲けるのに何でこんな苦労をしなくちゃならんのんと嘆くおマリ。

とりあえず、お熊さんの後にくっついて、1階、2階……

お熊「大丈夫?髪の毛は逆立ってこない?」

マリア「ゲゲゲの妖怪アンテナじゃないんですから」

お熊「どうしてここによたろうが出てくるのよ」

マリア「「よ」でなく「き」!」

そんなこんなで、3階、4階……

お熊「なにも出てこないわね」

マリア「……あれ?3階建てじゃなかったですか?」

お熊「そうよ」

マリア「ハシゴを3つ登ってきたからここは4階ですよ。」

お熊「おかしいわね。設計ミスかしら……そんなはずはなくってよ!!」

マリア「既に怪異に取り込まれてるじゃないですか!!」

お熊「おマリちゃんいったん下に戻るわよ!」

マリア「はい……あっ!登ってきたハシゴがない!」

というよりもハシゴがあった形跡すらない。

お熊「おかしいわ!飛び降りるのよ!」

ジョン・マクレーンも真っ青の潔さでビル四階から飛び降りた。

マリア「キャーッ!こんな高いところからっ!」

などと言いつつおマリも後に続いて飛び降りる。

浮遊感は一瞬ですぐに地面に落ちた。

お熊「あいたたた!」

マリア「ここは!お熊さんさっきの所ですよ!」

飛び降りたのに、無いはずの4階へと戻ってきてしまっていた。

「ふがふが」

マリア「なに?」

なにか声のようなものが聞こえて振り向いてみると糸のようなもので絡められている人間がいた。

作業員A「ふがふが」
作業員B「……」
作業員C「ぐぐっ…」

マリア「行方不明の作業員!!」

お熊「もしやここは閉じた空間!しまった!すでに敵の術中に!」

【ぎしゃぁーーーっ!】

言ったそばから巨大な蜘蛛のような化け物が天井をから落ちてきた。大口をあけて食らいつこうと襲い掛かってくる。

マリア「きゃーー!きゃーー!」

化け物にも負けない猛スピードでマリアは飛び出したが同じ部屋に戻ってきてしまう。
91/100ページ
スキ