ー日常ー街の住人達【6】

ー東京:広尾ー

転太「怪異は邪悪なる瘴気を発し続けたために付近の空間がねじれてしまったいわば暗黒空間が生まれたのだ。そやつらがいなくなっても暗黒空間は残った。今ここで怪奇な事件が起きているのは何らかの「悪しきもの」がその空間に引き寄せられたからじゃ。いや、悪しきものを退治したところでまた別の奴らがやってくる。暗黒空間がある限り堂々巡りじゃ。」

お熊「なななっ!」

転太「つまり怪異から逃れたくばこの場を去るしかない。この場所にとどまれば次から次に厄介な事件に見舞われるであろう。」

お熊「首席調査官何とか助けてください!」

マリア「お熊さん!」

転太「知らん」

「「ええっ?!」」

転太「調査の専門家と言うたじゃろう。わしの仕事はここまでじゃ。」

お熊「あーっ頼りにならない!」

マリア「お熊さんてばー!」

お熊「なによ!」

マリア「ここをあきらめましょう!」

お熊「なぜ!」

マリア「なぜって調査官の話を聞いていたでしょう!暗黒空間に引き寄せられて悪しきものとかがどんどんやってきて怪奇な事件がエンドレスに続くそうじゃないですか!そんなところじゃ商売なんてできませんよ!」

お熊「たったそれだけのことで一等地をあきらめるつもり!地代は月にわずか5万円よ!おまけに建設費の三分の一はもう払い込んでるから今さらやめたら大損こくのよ!」

マリア「お金と命どっちが大事なんですか!」

お熊「お金よ!」

マリア「わちゃー!」

お熊「悪しきものだかアイザック=アシモフだが知らないけど次々に現れるのなら次々に始末すればいいのよお金儲けの邪魔は誰にもさせないわ!橋頭保を死守するのよ!」

マリア「ダメだ!お熊さんまるでお金儲けの特攻隊だ!」

お熊「さっそく攻撃よ!」

マリア「わーっ!攻撃ってどうするんです!」

お熊「決まってるじゃない。山坂調査官の言葉から状況を判断すれば悪意を持つ何者かが現場に潜んでいるのよ。3名の作業員はそいさにかどわかされたと思われるわ。あたしたちがやるべきことはそいつをいぶりだし撃退して3名を助け出す。作戦テーマは明快よ」

さすがは外人部隊の経験もあるお熊、いざ実戦となると冷静になる。

マリア「でも、手ぶらで?」

お熊「怪奇班を頼んだ時点で一応の用意はしてきたわ。武器は何がいい?やっぱりカラシニコフが使いやすいかしら」

マリア「自動小銃はちょっと」

お熊「ジッポーは?」

マリア「ライターですか?」

お熊「火炎放射器の隠語よ」

マリア「えっとー……よくそんなもの持ってますね。」

お熊「CIAの仕事もしてるから対戦車ミサイルぐらいまでなら簡単に手に入るのよ。」

東京のどまんなかで対戦車ミサイルをぶっぱなしたらどうなるのだろう……。
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