ー日常ー街の住人達【6】

ー東京:広尾ー

マリア「ちょっと悪どいような気もしますが」

お熊「少しぐらい悪どいことやらなきゃオゼゼは稼げないわよ。もちろん2階にはちゃんとした入浴施設があって、さらに3階でエステや整体が受けられるようにするの。」

マリア「人を雇わなくちゃいけませんね。」

お熊「あたしがやるのよ。こう見えてもエステも整体もちゃんと資格をもってるプロよ」

マリア「それは知らなかった。本当にお熊さんは何でもできるスーパーマンですね。」

お熊「は?」

マリア「スーパーウーマン」

お熊「それほどでも、おマリちゃんは最近肩はこらない?」

マリア「実は最近ひどいんですよ。」

お熊「まかせて」

お熊さんの巨腕がマリアの「頭」を掴む。右、左と軽く揺らす。

マリア「おっ、おっ……」

ゆるりと神経をほぐられていっていると思った瞬間、ごきりっと首が半回転。

お熊「まぁ、エクソシスト。」

マリア「ッ……!!」

お熊「不気味だから戻すわね。」

半回転状態からゴキッと元に戻される。

マリア「お、お熊さん首がものすごく痛いんですけど!」

お熊「首の痛みで肩こりを忘れるでしょう」

マリア「えげつない整体だなぁ…。」

なんやかんやで商売の計画は完璧にできあがり、工事の方も順調に……進んでいるかと思いきや。

お熊「作業員が行方不明?」

現場監督「ひとり会社にも自宅にも帰ってないんですよ」

お熊「逃げたんじゃないの?」

現場監督「なぜ?」

お熊「カントクが給料をピンハネするから」

マリア「超絶ブラックだから」

現場監督「冗談言っちゃいけない。うちは良心的な会社なんです。」

マリア「どうしたんでしょう」

お熊「さぁ」

と、そのときはさほど気にも留めない二人でしたが……。

翌日もうひとり、さらに翌日もうひとりの作業員が行方不明になるにおよんでいた。

マリア「お熊さん、工事監督が工事をストップすると連絡が入ってますよ。」

電話をひったくってお熊が叫んだ。

お熊「はぁ、ちょっとー!!どういうことよ!どうして工事がストップしてるのよ!!」

現場監督『仕方ないでしょう!3人も行方がわからなくなったんですから!作業員がみんな現場はおかしい!あそこにはなにかあるといって近づきたがらないんですよ!』

お熊「そんなこと言ってると契約不履行で訴えるわよっ!!」

現場監督『そんなぁー!!』
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