ー日常ー街の住人達

ー小鳥遊邸:悠の部屋ー

ゆうな「ここー」

ゆえ「ここー……」

黒奈「わー、ごちゃごちゃしてる」

白奈「おー、ガラスケースフィギュアがいっぱい」

ゆうな「触ってもいいけど、壊したらお父さんがマジに殴ってくるから気をつけてね」

ゆえ「なぐられるかくごがあるならこわしてもいいといってた……」

黒奈「脅しなのか注意なのか分からないね」

白奈「この的確にスカートの中身が見えるようにディスプレイされてるところに匠を感じる」

黒奈「どこに匠を感じてる」

白奈「いや、この初音ミクのフィギュアなんてわざわざ下に小さな鏡を置いてるところなんかエロへの執念が滲みでてる」

ゆうな「お父さんえるぉいから」

ゆえ「えるぉい……」

黒奈「なんで舌巻いた」

ゆうな「なんとなく」

ゆえ「なんとなく……」

白奈「黒、黒」

黒奈「なに?」

白奈「ここ見て、ホラー系のDVDがぎっしり」

黒奈「余計なものを見つけなくていい」

ゆうな「トイレ行けなくなるもんね」

黒奈「違うし、ただひとりでいくのが嫌なだけだし」

ゆえ「それはひとりでいけなくなってるっていうんじゃないの……」

黒奈「ぷいっ」

白奈「むくれない、むくれない」
ぷにぷに

ゆうな「ほっぺふくらませない、ふくらませない」
ぷにぷに

ゆえ「ほっぺもやーらかい……」
ぷにぷに

黒奈「つつくな!」

ゆうな「そこのホラー映画よりもっと怖いのあるよ」

ゆえ「ここのたな……」

黒奈「わざわざカーテンまでかけてある」

白奈「いったいどんなラインナップが……」

【キラーオブトマト完璧版】
【死霊の盆踊り】
【尻怪獣アスラ】
【マシーンヘッド】
【プリズンブレーキ】
【ゾンビVSゾンビ】

ゆうな「なんと全部Z級映画!」

黒奈「な、なんだってー!あの単なる駄作達とは“超えてはならない”一線を画す。B級C級の、単に製作側に才能とか能力とか予算とか時間とかが足りなかっただけのツマラナイ映画には決して生み出せない、狂おしく禍々しい何かを放っているZ級映画!」

白奈「要するとあまりにヒドすぎてネタになる、もしくはネタにもならない程ヒドい事自体がネタとなる映画。つまりキングオブ最低映画のZ級映画!」

ゆうな「そう、リアルに失笑しながら時間を無駄にするためだけの映画!それがZ級映画!」

ゆえ「だれらにせつめいしてるの……?」

ゆうな「視聴者」

黒奈「メタいし「視聴」ではないでしょ」

白奈「市長?ハガー市長?筋肉美?」

黒奈「いってない」

ゆうな「ファイナルファイトあるよ。難易度ハードでNoコンテニュークリア目指してみる?」

黒奈「白奈にさせよう」

白奈「泊り込んでもクリア出来る気がしない」

ゆうな「そうなったらウチの娘になればいいよ」

ゆえ「たかなしくろな、しろな、わるくない……」

黒奈「さらっととんでもないこと言ってる」
59/100ページ
スキ