ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

よっぽど大変な方だった。

ミハイル「えっ、君の世界では生まれるとすぐ脳にチップを」

異界の青年「埋め込まれて教育を受けるのです。」

かつてわれわれ人間は喜びや悲しみといった愚劣な感情に左右されていた。

そのため互いに殺し合うようなおろかな行為を繰り返していたのだ。

だが今は違う偉大なる機械人(ロボット)から聖なる電脳片(チップ)をいただき、われわれはあらゆる感情から解放された。

その福音を与えたもうた繁栄ある機械人の大恩にむくいるため機械人の御世が未来永劫続くよう奉仕させていただくのがわれわれの務めであり喜びでもあるのだ。

ミハイル「いきすぎた機械文明。あまりにも高性能になったロボットたちいつしか立場は逆転してロボットが人間を支配するようになった。そうなると人間的な感情は邪魔だ。完璧に支配するためチップで君たちの心を奪ったんだ。」

異界の青年「今考えるとその通りです。なにも思わず何も感じずただぼくたちはおおいなる……おおい…」

チコ「どうしたんです?」

ミハイル「ロボットをたたえる言葉は発音しにくいだろう。君が感情を取り戻したからだ、自分たちがロボットの奴隷にされていたことに気付いたからだ。」

異界の青年「奴隷!!そうだ奴隷だ!ぼくたちは機械人の支配をより強固にするために働かされていたんだ!計画的に生殖出産させられ、働けなくなったものは自ら工場におとずれ食糧増産のたため肥料に分解されるきまりだった!なんて酷い世界だ!なんて醜い世界を機械人は作ったんだ!!」

ミハイル「おちけつ!!」

チコ「ケツを落としてどうするんです」

ミハイル「え?」

異界の青年「アッハッハッ」

ミハイル「よし笑ったな。慣れてないから仕方ないが感情はコントロールしなくてはいけない怒りはいい結果を生まないものだ。」

異界の青年「今のが怒りの感情……」

チコ「聞けば聞くほどひどい世界ですね。」

ミハイル「そういえばどこにあるんだ?」

異界の青年「ハッ!平行世界のどこかですが……大変です!ぼくは平行世界探査機で送りだされた偵察員なんです!機械人は支配できそうな世界を探していてすでにいくつかの平行世界を侵略しています!」

ミハイル「ニャ二おう!話を聞いていると地球よりだいぶテクノロジーが進んでいそうだ!そんな奴らに攻めてこられたら」

ムーン1「彼が帰らなければ大丈夫でしょう」

ミハイル「あっそうか」
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