ー日常ー街の住人達【6】

ー東京:某所ー

お熊「実は考えてたことはあるの」

マリア「なんですか?」

お熊「ほらアメリカで大もうけしたメイド喫茶」

マリア「あれは当たりましたね。」

お熊「日本でもやれるかもしれないと思ってリサーチしたんだけど、ダメだわ。本場だけに競合店が多すぎて」

マリア「メイド喫茶ていう意味では発祥の地ですからね」

お熊「でもヒントはあるの。アメリカで流行ったのはおマリちゃんのメイド姿が可愛かったせいもあるけど、あなたが作る料理がおいしかったのも大きな要因よ」

マリア「本業の家政婦できたえられましたからね」

お熊「それを生かさない手はないわ。一番の得意料理は?」

マリア「なんでもつくりますけど……フランス料理でしょうか。」

お熊「和食でなくフレンチなのね。」

マリア「フレンチレストランでもやりますか?」

お熊「ダメ。レストランは利潤が薄いわ。もうけるならアルコールをメインにしなくちゃパリ風のこじゃれた居酒屋「ビストロ」はどうかしら」

マリア「あっ、それは良さそうですね。」

お熊「でもねぇ、なにか付加価値がないと東京のお客はねぇ……」

マリア「付加価値ですか」

お熊「いいわ。いざとなったらあたしが犠牲になって恥ずかしいけどお色気サービス」

マリア「……」

お熊「ああ、でもこれ以上世の男性を悩殺したら天罰が下るかも///」

マリア「悩殺というか撲殺じゃないですか?」

お熊「まっ、おマリちゃんたらお口が上手くなって、ぐふふっ」

マリア「ほめたよーにきこえましたぁ?」

お熊「よしそれじゃお店を探してくるわ」

マリア「ちょっ、待ってください!まだ何も決まってないのにお店を!?」

お熊「あたしは走りながら考えるタイプなの。」

そういって出ていってしまう。

マリア「私も行動力には自信がある方だけど……お熊さんには負ける。でもまあお店がそんなに簡単に見つかるはずはないから、あとでゆっくり相談を……」

お熊「見つかったわ!!」

マリア「はい?!」

お熊「広尾のど真ん中の一軒家それで家賃がたったの五万円!」

マリア「五万円!?えっ、一日?」

お熊「一か月に決まってるでしょ、ホッホッ」

マリア「広尾の真ん中の一軒家で家賃がつきに五万?絶対に何かありますよ!!」

お熊「当たり前じゃない」

マリア「ほっ?」

お熊「なにかあったら原因を取り除けばいいだけの話よ。それで一等地の物件が格安で使えるのよ」

マリア「ああっ、ポジティブシンキングもここまでくると手に負えない!」
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