ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

国会で使用するため仮予算案の原本を北の塔の資料室に取りに行った。

ミハイル「えっ、北の塔の資料室に取りに行ったシシリアン18号がそのまま行方不明?」

宮殿の外に出た様子はなくなおかつ必死の捜索にもかかわらず宮殿内で彼を発見すること能(あた)わず。実(げ)に不可思議なる人間消失事件なるべし。

ムーン1「これ誰が書いたんだ」

ミハイル「追記がある、猶午前中、当エメラダ国に於いては珍しき地震発生消失事件と関係ありや?」

「「ええっ!?」」

ムーン1「数年前の事件の時にもやっぱり自身が!?」

ムーン2「地震と北の塔がキーワードだ!」

ミハイル「そうか?」

ムーン1「だってごらんなさい!」

「「「ギャッハッハッハッ」」」

ムーン1「資料室に行った連中が殿下のしょーもないギャグで笑い転げてます!北の塔に何か異常がある証拠です!」

ミハイル「睡眠誘導装置」

ムーン1「ぎゃぁぁっ!」

これでもかとぶん殴った後……

ミハイル「とにかく調べてみよう」

ムーン2「はぁ」


~~

階段を飛び降りる勢いで駆け下りるチコは叫んでいた。

チコ「わーーっ!!もうダメッ!とても平静を装ってなんかいられない!登っても登っても登っても登っても階段が続いてる!これはなんなの!無限階段か閉じた空間につかまってしまったの!!」

かけ下りた先の踊り場で足を止めた。目に入ったのは登り始める前に脱いだ靴だ。

つまり、ここはさっきの場所。そうなれば今度は下、降りるしかないと踏み出そうとしたとき……。

「わっ!?」

チコ「きゃっー!?」


~~


そのころ北の塔では特殊なヘルメットにスコープ、小型ボンベの完全武装で調査に出ていた。

ミハイル「マザーコンピューターの端末が異変をキャッチしたぞ。」

ムーン2「やっぱり異常があったんだ。」

ムーン1「資料をとりにいった連中はどうした?」

ムーン2「殿下のギャグのネタ帳を見せたら笑い死にしそうになったんで医務室に放り込んできた。」

ムーン1「しかしこんな装備をさせるところを見ると殿下も自分のギャグがあんなに受けるのはおかしいと思ったに違いない。」

ミハイル「黙ってついてこい!」

歩いているとミハイルが手に持った末端からピーピーッと音がなりだした。さらに末端を傾けたり振ったりすると床のヒビのような部分で一段と大きな音を出す。
75/100ページ
スキ