ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「ギャグの本を出すためにいくつかネタを考えてみたのだ。ちょっと読んでみろ」

ムーン1は差し出された一冊の本を手に取った。

ムーン1「みんな、覚悟はいいか?」

「「ううっ…」」

ムーン1「もやしを燃やした」

ミハイル「どうかな?」

更にページをめくる。
 
ムーン1「……カバがかばった。象がゾーッとした。猫がねっころんだ。河童がかっぱらった。」

目を通していくうちにグラッと身体が揺れる。

ミハイル「あっ、どうした!」

ムーン1「気が遠くなるわい!!」

ミハイル「そんなに面白いか!」

ムーン1「睡眠誘導装置」

ごぉん!
ミハイル「き、きさま国王に」

ムーン1「すいませんつい……」

ミハイル「すみませんですむかー!あっ、すみませんじゃすみませんと。」

ムーン1「まぁ何でもネタにする態度は立派だ……。」

「「ギャーッハッハッ」」

笑い声が聞こえてきた方を見るとファイルの束を持ったムーンたちが爆笑している。

「すみませんじゃすみません!?」

「なんて面白いギャグだ!」

「「ビェーッヒヒッ!!」」

ムーン2「なんだあいつら」

ムーン3「北の塔の資料室に行った連中だ」

ミハイル「資料室?」

ムーン1「数年前の事件を調べるためわれわれがつけてる当番日誌を取りに行ったんですよ。」

ムーン2「そういえばチコちゃんの昨日の最後の仕事は資料室の整理だったそうだ。」

ミハイル「イカが怒った。」

「「ぎゃはははっ!やめてくだせさーい!」」

ミハイル「ちょっと待て念のために確認するが本当に失踪事件なんだろうな。焼肉のタレが転んで頭を打って気を失ってるなんてオチじゃないだろうな」

ムーン1「宮殿は毎日すみからすみまで掃除をします。鼠の死体以上の大きい物体があれば絶対見逃しません。」

ミハイル「なるほど」

ムーン1「それでこれが5年から6年前の日誌か」

ムーン2「ずいぶんあるな」

電話帳サイズのファイルが10冊ほど積まれている。ひとつひとつ目を通していたら目的の内容に辿り着くのに数日はかかるだろう。

このへんじゃないかなといってミハイルは適当に一冊抜いた。

ミハイル「ほら、どんぴしゃりだ。○○年○月○日、今日不可思議な事件が発生した。」

ムーン1「うわお」

ムーン2「すごいご都合主義」
74/100ページ
スキ