ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

翌朝

ムーン1「宿舎にも帰ってないらしい」

ムーン2「チコちゃん?」

ムーン3「殿下にまた無茶なことを言われて夜通し走り回ってるとかじゃ?」

ムーン4「仕事に嫌気がさしてトンズラしたとか」

ムーン1「彼女はそういうタイプではないだろう」

ムーン2「そうなると謎の失踪事件か……」

ムーン3「ちょっとまて確か数年前にもこんなことがなかったか?」

ムーン1「えーと……あった!確かシシリアン」

ムーン2「シシリアン18号だ!」

ミハイルの人使いの荒さは有名です。

ミハイル『おい、郵便局にいって百円切手を買ってこい』

『買ってきましたー』

ミハイル『ハガキを買ってこい』

『えっ?郵便局で?』

ミハイル『魚屋でハガキを売ってるか?』

『買ってきましたー』

ミハイル『収入印紙を買ってこい』

『それなら一度に切手とハガキと収入印紙を買ってこいといったらどうです!』

ミハイル『口答えするな!!』

という風におちょくって怒ったら逆切れしてストレスを解消するという、部下を奴隷といい切るだけあってミハイルは彼らの人権を認めていません。

ですから無理な用を言いつけては

『『できませーん!』』

といわせていたぶるのを何より楽しみにしています。

しかし中にはこういう生活に耐えられず脱走を試みるムーンもいます。

ムーン『もう嫌だこんな生活逃げよう!!』

ミハイル『捕獲』

ムーン『ぎぇぇぇっーー!』

大概は捕まってもっとひどい目にあわされます。

ムーン1「でも希に脱走に成功するものもいてある日気がつくと仲間の誰かの姿が見えなくなっているんだ。しかしこういう連中は書置きを残したり宿舎の荷持ちがなくなってたりするので脱走だなとわかるんだがシシリアン18号の場合は違った荷物はそのままで着替えなんかもそっくり残ってた。」

ムーン2「なのに突然……完全に失踪して手掛かりひとつなかったんだ。」

「「うーむ」」

ムーン1「チコちゃんも荷物に手をつけてない。当日の日誌をあたってシシリアン18号と今度の失踪事件との関連を調べてみろ。」

「「ラジャー」」

ミハイル「なんの騒ぎだ」

ムーン1「殿下、じつはこれこれしかじかで……」

ミハイル「失踪事件!?そういえば昔……」

ムーン1「えっ!?」

ミハイル「疾風のように走るケンという少年が居たのだ」

ムーン1「それで?」

ミハイル「疾走児(しっそうじ)ケン」

「「「しょーもないっ!!」」」
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