ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「泣くな!」

「「……」」

ミハイル「笑え!」

「「アハハハッ!」」

ミハイル「泣け!」

「「うわーんっ!」」

チコ「って、なにをやらせるんですか!」

ミハイル「こうやっておまえたちを完璧にコントロールしているんだ。」

チコ「私たちは殿下のロボットじゃありませんよ!」

ミハイル「当たり前だ。おまえたちはロボットなんかじゃない。奴隷だ。」

「「わーん!!」」


その夜……

ムーン1「やれやれやっと長い一日が終わった。」

ムーン2「昼番と夜番の引継ぎをするぞ、夜番はどこだ」

ムーン3「一円なり二円なーリ」

ムーン2「それはソロバン」

ムーン4「革製で書類なんかを」

ムーン2「カバン」

ムーン5「肩こりに」

ムーン2「エレキバン」

ムーン6「炒め物を」

ムーン2「フライパンってだんだん遠くなってるじゃないか!」

ムーン1「つまらないジョークは殿下だけでたくさんだ。もっとまじめにやれ。」

ムーン3「こないだ面白いジョークを思いついたんだ。腐乱した死体を検死するんだ」

ムーン1「ふーん?」

ムーン3「腐乱検死体(ふらんけんしたい)……どう?」

ムーン1「意味が分からん」

ムーン2「はいはい、昼番の者は自分の名札をひっくり返して宿舎に帰るものは帰り休憩室で一服するものはそれなりにそれなりして」

「「それなりにそれなり?」」

ムーン2「さらにおなかの空いてる者は食堂へ行ってかまわないから好きに飲み食いして」

「「えっ!?」」

ムーン2「自分でお金を払って帰れ」

ムーン3「ほんと、つまらないギャグは身体に堪える……うん?おい、誰か名札をひっくり返すの忘れてるぞ」

ムーン4「誰だ?」

ムーン3「焼肉のタレ……ああ、チコちゃんか」

ムーン4「殿下はこんなところもしっかりと弄るんだからなぁ」

ムーン3「おーい、チコちゃーん!」

ムーン5「昼番はみんな帰ったらしいな」

ムーン3「この名札はどうしよう?」

ムーン4「きっと返し忘れただけだろうしいいんじゃないかな。」


~~


チコ「いったいどういうこと、確かにこの宮殿はいいかげんな建物で3階のところがあるかと思うと10階の所もある。だけど北の塔は地下室を含めて6階しかないはず……。なのにさっきからずっと階段を登り続けてるもう何十回分登ったかわからないのに。どこにもいきつかない……そうだ。」

靴を脱いでその場において再び階段を登った。次の階に靴は……ない。

といことは同じところをループしているわけじゃない。それなら少しは希望が持てる登り続ければ必ずどこかにいきつくはず。この階段から抜け出せるはず。
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