ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:メイド喫茶ー

お熊「ところで貸し切りを望まれる理由をうかがってもいいかしら」

青年「彼女は……おマリさんは亡くなった妹にそっくりなのです。」

お熊「まあ」

青年「妹も料理がうまく働き者でした…妹の笑顔はぼくの心のささえだったのですが先日…」

お熊「まぁ…」

青年「ですから一日だけでもいいおマリさんの働く姿や素敵な笑顔をずっと見ていたのです。そして幸せだったころの時間を少しでも取り戻したいのです。彼女の多くのファンをしめだすことになるのは心苦しいけれど、しかし我儘を承知でお願いしたいのです。」

お熊「けっこうです。お願いされましょう(おマリちゃんを説得しなくちゃ)。」


~~


おマリ「貸し切り!?」

お熊「そう」

おマリ「だめですよ。一日分の上りを払うといってもお店に来るのを楽しみにしている他のお客さんに迷惑が」

お熊「(こう言うと思ったわ)ちがうのよ実はね……。」

マリア「不治の病!?」

お熊「先日妹さんを病気で亡くされてね。ところがその人、ジョージ=クライマンさんというんだけど、クライマンさんも同じ病で余命いくばくもないそうなの。妹さんにそっくりのあなたとゆっくり過ごして残り少ない人生の思い出にしたいといわれたら……うっ!どうして断ることができて!?金銭ずくじゃないのよ!おマリちゃんこれは人道的な問題なのよ!」

マリア「そういうことなら……」

心の中でお熊が大きくガッツポーズした瞬間だった。

そして次の日、貸し切りの札を出した。

「ええっー!」
「貸し切りってどういうことだよ!」
「おマリちゃーん!」

っと、外はちょっとした騒ぎになったが店内ではひとりクライマンがおマリの働きを静かに眺めていた。

マリア「丸一日おひとりだけにサービスするってどうしたら……そうだ。」

他のアマチュアメイドならとまどうシュチュエーションかもしれませんが、そこは熟練家政婦のおマリのこと。

普段作れない手の込んだ料理を作り、店の掃除やテーブルクロスなどの掃除をいつもより念入りにしたり、もちろんきれいな小さな声でハミングをしながら、本当の妹なら愛するお兄さんの前でこういう風にふるまうだろうと思う姿を演じました。

それを見てクライマンはただ微笑んでいるだけ。

お熊「もしかしたらなにか裏のある話かもしれないと思ったけれど……ちがうわね。あれはまちがいなく妹を見守るお兄さんの目だわ。どう手の込んだ料理を作っても食材はひとり分それで三百人分の以上の請求できるんだからボロイもうけもんよ。ホッホッ」
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