ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:安ホテルー

前回、殺されかけてお金儲けに嫌気がさしてしばらく仕事を断り続けているマリアでした。

お熊「だから~謝ってるじゃないの、危ない仕事とは思わなかったのよ~。反省してるわ。」

マリア「ほんとーでしょうね?私はもちろんお金を稼ぐために働いているわけですが殺されるなんて論外です」

お熊「はいはい」

マリア「お金のためなら何をしてもいいといのでは人間性を疑われますよ」

お熊「はいはい」

マリア「大切なのは品位です」

お熊「はいはいはいはい」

マリア「………昔々あるところに」

お熊「はいはい」

マリア「コラーーー!」

お熊「違うのよ!話の流れで自然と出てきた罪のないジョークなのよ!」

マリア「もっとまじめになってください!」

お熊「あたしはまじめよ!ほらっ!この目を見て!!」

マリア「目つきが怪しい……ですが、とにかくこれからはきれいなお金もうけを心がけます。いいですね」

お熊「きれいなお金儲けってむずかしいのよねー」

マリア「いいですね!」

お熊「はいー!」

むずかしいと言いながら所属するタレント(?)はおマリひとりなのでヘソを曲げられたら商売になりません。お熊はおマリの納得するようなきれいな稼ぎ方を必死で考えました。

そして……

マリア「メイド喫茶でアルバイト!?」

お熊「そうよ」

マリア「ってアメリカにメイド喫茶があるんですか?」

お熊「マンガ、アニメを始めとして今や日本の「おたく文化」はアメリカを席捲してるのよ」

マリア「でもバイトじゃ大したお金にはならないでしょう」

お熊「ところがぎっちょん、日本とこっちではお店の仕組みが違うの、いわゆるバイト代が支払われない代わりに指名料がまるまるもらえるのよ。」

マリア「ということは……」

お熊「そう、氏名が多ければ大儲けができるわけ。」

お熊なりの目論見があるのだろうと、とりあえずメイド喫茶で働き始めたおマリでした。

普段は割烹着で、最近はこじゃれたドレスも着たりしたおマリですがメイド服というのは意外にも初めてでした。

マリア「おかえりなさいませーご主人様」

「(おっ新入りだ!)」

「(日系、いや本物のジャパンメイドか!)」

マリア「どうぞお席でおくつろぎくださいませ。ただいまおしぼりとお水をお持ちいたしますね。」

一礼してお客を席へ案内する姿はメイドよりも旅館の女将か仲居さんっぽくなっている。
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