ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:屋敷ー

ミハイル「ご兄妹の話ではマギーさんの姿を見たそうな。」

グリーン「は、はい」

ローズ「見ました…」

幻ではないと改めて肯定する二人。

ミハイル「あなたたちを恨んでいるからとか怖がらせるためだとか思っているようだがとんでもない。お二人を通して金庫の開け方を教えるために遠いところからきっと大変な苦労をして帰ってきたのです。」

「「!!?」」

ミハイル「それはなぜか、金庫の中のこの日記を読み、自分が母親だということを知ってほしかったから、ではなぜ今母親と名乗りたかったのか。自分の息子が死んだのはこの女のせいだと逆恨みしたおばあさまがつけた過酷な条件。親子でありながら、そうといえない究極のいじめの毎日にも耐え、あなた方を健やかに育てたのは、何よりもお二人を愛していたから、どんなつらさにも負けずにわが子を見守った母親がお二人に責任のない事故などのことで恨むわけがない。愛する子供を母親が恨んだりするわけがない。そう伝えたかったからではないでしょうか?」

ミハイルの話を聞き終えた二人は抱きしめあって大声で泣いた。一度に受け止めるには大きすぎる真実ではあるが、それでも自分たちを縛っていた罪の意識はこの日で終わりを告げたのだ。

そして翌日……新たな門出を祝福するかのような晴天。

弁護士「ああ、実にいい天気だ」

ミハイル「兄妹が本当にトラウマから解放されるには時間がかかるでしょうが……でもいずれ、自分たちが幸せになることがお母さんへの何よりの供養だとわかる時が来るでしょう」

執事「おはようございます」

チコ「あ、おはようございます……おや執事さん、目が赤いようですが」

執事「おはずかしい話ですが親子の情に感じ入りまして、昨夜は寝付けませんでした。」

チコ「ああっ」

ムーン1「案外いい人なんですね。顔に似合わず。」

弁護士「これからもお二人のお世話をよろしくたのみましたぞ」

執事「かしこまりました」

ミハイル「さて、謝礼の件ですが」

弁護士「謝礼?なんの?」

ミハイル「金庫を開けたら謝礼を出すといったでしょう」

弁護士「あんたなにもしとらんじゃないか!」

ミハイル「なにぃ!この期に及んで踏み倒すつもりかっ!!」

ギャーギャーと醜い言い争いを始めるミハイル。

チコ「あーあー……台無し。」
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