ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:屋敷ー

半狂乱になって叫んだローズにその場にいた一同は固まってしまった。

ローズはそのままフラフラと移動してミハイルの腕を掴んだ。そしてそのまま意識を失ってしまう。

グリーン「ローズ!」

慌てて駆け寄るグリーン。だが、それと同時にガチャンッとハンドルが開く音がした。

チコ「えっ!?」

ミハイルがグルグルとハンドルを逆時計回しに回してついに金庫が口を開けたのだ。

ミハイル「究極のローテクだ。ハンドルがネジになってたんだ。単純すぎてかえって分からなかった。」


それから、ローズが意識を取り戻してグリーンの口から事の顛末を説明した。

グリーン「というわけでマギーを殺してしまったのです。」

ローズ「……」

チコ「過失致死ですか?」

弁護士「いや、この子たちがハシゴをはずしたこととメイドが亡くなった事実のあいだに直接の因果関係はない。明白な事故だ。君たちが責任を感じる必要はない。」

グリーン「でも…」

ローズ「マギーはあたしたちを恨んでるわ」

ミハイル「それは違うと思いますね。念のためにうかがうが金庫の開け方は知っていましたか?」

ローズ「いいえ」

チコ「無意識に行動してるみたいでしたよ」

ミハイル「ふむ、金庫の中には遺言状の他におばあさまの日記も入っていて、大変興味深いことが書いてあります。」

弁護士「といいますと?」

ミハイル「ご両親のことです」

グリーン「事故で亡くなったと聞いていますが」

ミハイル「あなた方のお父さんは病弱な青年だったそうです。あるとき父上の看護のために若い女性が雇われてきて。いつしかふたりは恋仲になりお母さんはあなた方を身ごもった、お父さんは結婚したいと思ったが相手は平民の娘だったのでおばあさまは大反対。やがて心労が重なってお父さんは亡くなってしまった。生まれたばかりの赤ん坊を引き取りたいと母上に申し上げたがおばあさまにとっても大切な跡取り手放すことはできない。そこでこの家で子供を育てることを認める代わりにおばあさまのつけた条件というのが……母親と名乗らないことだった。あなた方を育ててくれたメイドのマギーさん。彼女こそお二人の母上だったのです。」

グリーン「!?」
ローズ「!?」

チコ「もしかして弁護士さんと執事さんを雇い直したのは……」

ミハイル「その事実をばらされちゃ困るから城を知っている前執事、弁護士もクビにしたのだろうな」

弁護士「なんと……」
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