ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:屋敷ー

ローズ「グリーン?」

グリーン「なんでもない。すまない」

目の迷いだ、気のせいだ。ローズを怖がらせちゃいけないとグリーンは自分に言い聞かせた。

ローズ「震えてるわ寒いの?」

グリーン「ちょっとね。風邪でも引いたかな」

ローズ「実はあたしも…さっきから妙に背中が寒くて」

ミハイル「ゲーーップ。腹ごしらえができました。金庫を拝見しましょう」

空気を読まず我儘……マイペースに席をたつミハイル。

弁護士「よろしくお願いします。」

ローズ「もうだめ我慢できない。寒くて仕方ないわ熱いお風呂に入ってそのまま寝ちゃうわ」

グリーン「ん、ああそうした方がいい」


~~


弁護士に案内され、開かずの金庫を眺めた。
大きさは幅35cm×高さ50cm×奥行き37cm。業務用の大きなものではなく、家庭用のサイズ。ダイヤルや電子キーみたいなものはなくハンドルがついているだけのシンプルなもの。色は黒で重厚な雰囲気がある。

ミハイル「これですか」

弁護士「扉にハンドルがついているだけであとは何もないのです。まったく開け方が分かりません。」

ミハイル「閉まってるということは鍵がかかってるわけだが」

ガチャガチャとハンドルを弄るが扉には確かに鍵がかかっている。

チコ「って、鍵穴すらないじゃないですか」

ムーン1「古い時代のものに見えますけど本当は電子式のリモートコントロールかなにかでは?」

執事「あり得ませんな。奥様はハイテクが大嫌いでした」

ミハイル「執事さんは何年お勤めです?」

執事「お子様方がまだ赤ん坊のころに雇われましたので17年ほどになりますか」

ミハイル「金庫を開閉するところを見たことは?」

執事「ございません」

弁護士「そういえば私も顧問として雇われて17年になる。しかし奥様が金庫をいじってるのは見た記憶がないな」

執事「用心深いお方でしたから」

ミハイル「ちょっと待ってください。二人とも17年前ですか?」

執事「ええ」

ミハイル「兄弟が赤ん坊のころ?」

弁護士「そうです」

ミハイル「おかしいですね。」

チコ「なにがです?」

ミハイル「それまでも前任者はいたはずなのに、なぜそのタイミングで執事と弁護士を雇い直したんでしょう」

執事「さぁ」

弁護士「私も考えたことありませんでした。」

ミハイル「……(そこになにかがありそうだ。)」
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