ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:屋敷ー

昨夜、ひと足先に帰っていたローズはマギーを見たそうなのだが……バカバカしい、マギーは今でも冷たい井戸の底だ。罪の意識で幻でも見たのだろう。

するとちょうど階段を上がってくる執事の頭が見えた。

グリーン「執事(バトラー)。長い間おばあさまの面倒をみてくれてありがとう。」

執事「仕事ですから」

相変わらずの不愛想だとグリーンは思った。

グリーン「そのシーツは?」

執事「今夜は弁護士先生もお泊りになります。お客様もご一緒だそうで」

グリーン「客?誰?」

執事「存じません」

グリーン「ふぅ……」

それからしばらく日も傾いたころ……

キィィッと聞こえてくるエンジン音。

ローズ「先生のクルマがついたみたい。遺産の話があるんですって」

グリーン「遺産といってもこの屋敷と荒れた土地ぐらいだろう」

話していると外からは怒声が響いてきた。

ミハイル「だから!どうして駅で何時間も待たせるんだこのボケっ!」

弁護士「だって予定では夕方おつきになる筈では!」

ミハイル「予定を変更して朝一番でつく可能性ぐらい予測せんかバカたれが!」

チコ「いや、無茶でしょ」

グリーン「あっ」

ミハイル「ん?やあやあやあ、しばらくですお元気でしたか」

なぜか昔から知っているような体で握手をしてくる。

グリーン「はあ」

ミハイル「いやっはっはっ……おい」

ムーン1「はい?」

ミハイル「どこかで会った記憶はあるんだが思い出せない。誰だったかな?」

ムーン1「汽車で一緒だった人ですよ」

ミハイル「なんだ無関係な一般人か」

チコ「このお屋敷にいらっしゃるんだから無関係ではないと思います」

弁護士「紹介が遅れました。当家の主になられたグリーン=フォン=エッヘンバッハ三世と妹御のローズ嬢。そしてこちらはかの有名な」

ミハイル「いやいや」

弁護士「世界名探偵友の会の正会員にしてエメラダ王国国王ミハイル・竜胆8世!名探偵友の会のアマチュア会員であるわたくし如き素人のお招きに快く応じてくださった推理の鉄人ミハイル殿下に拍手!」
パチパチパチパチ!!

ミハイル「はっはっは、いやいやいやー」

グリーン「……」
ローズ「……」

ミハイル「反応が薄いようだが?」

弁護士「ほれ、君たちも拍手」
パチパチ

グリーン「なんとか会のなんとか国王が当家に何の用ですか?」
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