ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:駅前ー

グリーン「行こう、かかわりにならない方がいい」

ローズ「……」

グリーン「少し顔色が悪いなにかあったか?」

ローズ「マギーを見たの」

グリーン「!!」

幼い頃、両親を亡くしたグリーンと双子の妹のローズは学校に上がるまである屋敷で厳格な祖母に育てられた。

そして、ローズの話ではゆうべ屋敷の二階の窓からマギーの姿を見かけたらしいのだが、そんなはずはない絶対に何かの見間違いだ。

なぜなら、マギーはぼくたちが殺したのだから。


~~

それは幼かったころ……

グリーン『マギー』
ローズ「マギー」

マギー『どうしましたグリーンさま、ローズさま。』

グリーン『タコが引っ掛かっちゃった梯子を持ってきて!』

厳しい祖母と陰気な執事との生活の中でメイドのマギーの明るさは救いだった。母親代わりに育ててくれたマギーをぼくたちは大好きだった。

でも…そう、ほんの冗談のつもりだったのに。

タコを探して木に登ったマギー。

マギー『どこらへんですかー?あら?』

グリーン『タコなんかないよー』

ローズ『夕食の支度が遅れるとまたおばあさまにしかられるわよー』

ハシゴを持って逃げ出す二人。

ローズ『これっ、ハシゴをもどしなさい!おしりぺんぺんですよ!』

枝のほうへと移動したマギーだったが踏ん張った瞬間に足元の枝が折れてしまった。

ドスンッと何かが落ちる音がして慌てて戻った二人だったが……。

悪い偶然が重なった。枝が折れツルが首に巻きついて…マギーは死んだ。事故だったが間違いなく責任はぼくたちにあった。

正直に告白するにはあまりにもおばあさまが怖かった。執事の使う高枝切狭でなんとかツルを切り。

以前見つけて、いずれ落とし穴に使おうと相談していた古井戸まで何とか運び中へと落して、上から枯れ枝や石を大量に放り込みさらに蓋をして……事件を隠ぺいした。

メイドが行方不明になったのだから当然大騒ぎになると思い、ぼくたちは嘘をつく練習までしたのだが……

執事『どこにもおりません』

おばあさま『逃げたね。ふんっ、尻の軽い女だよ』

それだけだった。

警察に届けも出さないのは今考えるとおかしな話だが当時のぼくたちは追及されずにすんだので、とにかくホッとした。

やがて就学年齢になり、ぼくは寄宿制の男子校にローズは女子高にそれぞれ進学した。
クラスメートの多くは初めて家を離れるので不安そうな顔をしていたが、ぼくは、たぶんローズもおばあさまとマギーの思い出から遠ざかれるのでうれしかった。

以来12年、休暇にもほとんど帰ることのなかった故郷にこうして戻って来て。
いきなりマギーの話を聞かされるとは……
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