ー日常ー街の住人達【6】

ー某所:校舎内ー

ポーンっとボールが大きくはねる、それの後を子供たちが追いながら叫んでいる。

「抜かれた!」
「ソッチだ!」
「狙えー!」

ワーワーと子供らしく遊ぶ男子生徒たちを同年代の男子生徒が窓から眺めていた。

眼鏡生徒「グリーン、手紙だよ」

外を眺めていたグリーンは手紙を受け取り差出人を見た。

グリーン「顧問弁護士からだ、なんだろう」

封を切って手紙に目を通すとふーんっとそっけない反応。

眼鏡生徒「いい知らせ?」

グリーン「いや」

眼鏡生徒「悪い知らせか?」

グリーン「いやどっちともいえないな」

眼鏡生徒「内容は?」

グリーン「おばあちゃんがなくなったってさ」

眼鏡生徒「えっ……あ、ああ、そう」


時間は進み、夜行の列車の中、グリーンは静かに考えていた。

高貴な貴族の末裔というのが自慢で、そのせいか異常に気位が高く口やかましかった祖母の小言ももう聞かずに済むのはありがたいけれど……。

しかし数少ない血縁者を亡くすのはやはり寂してものだ。言い知らせとも悪い知らせとも言えないのは、そういうわけなのだ。

ミハイル「失礼」

グリーン「はい?」

ミハイル「このコンパートメントは空いてますか?」

グリーン「ええ、でも他もガラガラだと思いますけど」

ミハイル「知ってます」

グリーン「?」

何かの小型機械を操作してミハイルは納得したようにうなずいた。

ミハイル「うむ、ほら予想通り空き率はキッカリ87パーセントだ」

チコ「ホントだ」

ムーン1「またやられましたね」

ミハイル「これで僕の三連勝だぞ。ハッハッ」

妙な一団はすぐに去っていったがグリーンは首を傾げるばかりだった。

そして翌朝、列車は生まれ故郷のキングスベリーの駅に辿り着いた。

降りるとそこにはひとりの女性が待っていて名前を呼んだ。

「グリーン」

グリーン「ローズ、昨日?」

ローズ「ええ、夕方に」

懐かしく話していると、急に大声が聞こえた。

ミハイル「なんなんだこの駅は!」

チコ「落ち着いたいい駅じゃないですか」

ムーン1「なにかご不満でも?」

ミハイル「駅弁を売ってないじゃないか!峠の釜めしはどうした!名物のカニイクラゴーヤチャンプルー弁当は!」

チコ「どこの名物ですか」

ミハイル「キウイの天ぷらを乗せた南国モモンガ弁当でもいい!」

チコ「あるんですかそんなもんが」

ミハイル「おまけにむかえの人間は来てないし!」
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