ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:路地ー

人ごみを抜けて追っていくとどんどん人気がない方へと進んでいく。

マリア「確かこっちに……!」

ひとの気配を感じて建物の影から覗き込むと、お熊さんと黒ずくめの男が対面している。男はステッキのようなものを突きつけていった。

「久しぶりだね。I.XL(アイエックスエル)君」

お熊(?)「伯爵なんの用かしら」

マリア「(お熊さんだ!)」

顔だけなら偶然似てるとも考えれるけどガラスを引っ掻くよな耳障りな響きを持つあの澄んだだみ声はお熊さん以外ではありえない。

お熊(?)「お目当てな例のフィルム?」

伯爵「君がロシアの間抜けどもから奪ったミサイルの配置図かね。興味深いが今回の目的は違う。エクセル君、ちょっとやりすぎたようだね。大人は君に生きていて欲しくないそうだ。」

お熊(?)「……」

伯爵「残念だったねぇ。わたしがステッキを構える前なら君にもチャンスがあったろが……しかしまあ即効性の毒針だから苦しむことはないよ。」

マリア「てりゃっ!」

伯爵「むっ……があっ!?」

足元に落ちていたタライを伯爵めがけて投げつけた。

刹那、お熊さんのド太いゴボウのような足での蹴りが伯爵にさく裂した。猛牛でも一撃でのされるだろう。

お熊「……」

マリア「おく……」

お熊「……」

声をかける間もなくお熊さんは駆けだしていった。

マリア「な、なんて逃げ足の速い!それにしてもエクセルとか大人ってなんのことかしら……。」

色々と気になることだらけで慌ててホテルに帰ったがやはりお熊さんはいなかった。
しかし、すぐにドアが開いて……。

お熊「あに今日も早いのね。美容院にいったんだけどさあ。こんでてまたされそうだったから帰ってきちゃった。」

マリア「……」

お熊「お夕食なにがいい?ロールキャベツでいいかしら」

マリア「はい」


なにか隠している。
なぜ秘密にするのかわからないけど、お熊さんには私の知らない別の顔があるのだ。

さらに次の日、私はいつも起きている時間になってもベッドからおきなかった。

お熊「おマリちゃんどうしたの、今日はカツアゲ……いえ、お仕事にはいかないの?」

マリア「体調が悪いので今日は休みます」

お熊「あら、大変。ゆっくり休むのよ。あたしはちょっと用を足してきます。」

私は飛び起きて、そういって出ていったお熊の後をつけることにした。
54/100ページ
スキ