ー日常ー街の住人達【6】

ーニューヨーク:豪邸ー

ミハイル「魔神!?佐々木ですか」

おばあさま「は?」

チコ「殿下」

ミハイル「こっちの話です。魔神というのはどういうことですか」

おばあさま「わたくしがまだ少女のころふるさとの浜辺を散歩していて小さな小瓶を拾ったのです。とてもきれいなビンだったので中にはなにが入っているのかとふたを開けてみたら魔神が現れたのです。」

ミハイル「……」

チコ「……」

ミハイル「ちょっと待ってください。これが他の人なら夢物語か何かオチがあるんだろうと思うところですがおばあちゃんが真実以外の事を口にするはずがない!シャレや冗談ではなく!」

おばあさま「そうです」

ミハイル「幻覚や見間違いでもなく」

おばあさま「そうです」

ミハイル「本物の正味の魔神が出現したと」

おばあさま「そうです信じますか」

このときミハイルは神や悪魔に知り合いがいるからランプの精みたいなのが居てもおかしくはない、と思ったがそれを言うと話がややこしくなりそうなのでいわなかった。

ミハイル「おばあちゃんの仰ることでしたら。」

おばあさま「よろしい、そのとき魔神がこういったのです。」

~~

魔神『千年に一度、必ず誰かが拾ってふたを開けてくれる。瓶に閉じ込められている余にとって、それが唯一の息抜き外界の空気を吸わせてくれた礼に望みを一つかなえてやる。申してみよ。』

「えっ、望み!?」

魔神『何でもよいぞ世界中の富でも永遠の若さでも』

「そんなだいそれたことは望みません。私が望むとしたらつつましいささやかな幸せです。」

魔神『それでよいのだな。確かに聞いた!今後は余の指示に従うのだ!』

そういうと魔神はにやりと笑って瓶の中に戻っていった。

~~

おばあさま「あれがそのビンです。それ以来ビンのそばに羊皮紙に書かれたメモが現れるようになりました。魔神の指示です。最初の指示はビンを常に空の見える場所に置くようにというものでした。次の指示は私が進学問題で悩んでいたころ南海の小さな王国に留学せよと書いてあったのです。」

チコ「それでエメラダ大学をお選びに」

ミハイル「そこでおじいちゃんと知り合った」

おばあさま「そう、そのあとのことはあなたも知っているでしょう。第二次大戦中は連合国に協力してエメラダは独立を守り、戦後の混乱期も指示に従っていつも正しい道を選びとってきました気がついたら一介の少女が女王となり多くの家族とあり余る富と名誉に囲まれていたのです。」

チコ「願い通りになっているのでは?」
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