ー日常ー街の住人達【6】

ーニューヨーク:豪邸ー

パーティの準備は上々、しかし肝心の主役が降りてこない。

カシス「母上おそいな。ミハイルむかえにいってくれ君は母上のお気に入りだから」

ミハイル「えっ、ああ、はい」

カシスに頼まれてミハイルはおばあちゃんのいる部屋へと向かう途中。

チコ「殿下、おばあさまに気にいられてたんですね。」

ミハイル「気にいられてるとは知らなかった。ほんとかなぁ。」

チコ「建前って感じでもなかったですけどね」

ミハイル「確かここがおばあちゃんの部屋だ。ギャグがつかみが肝心、よーし!ストーブが……」

なにかくだらないギャグを言おうとした瞬間、扉が勢いよく開いてミハイルを壁へと炊きつけた。

チコ「あ、エジプトの壁画っぽい」

おばあさま「ああ…とうとうこの日が…」

潰れた肉まんもといミハイルも目の前に立っているチコも目に入っていない様子でよろよろと歩いていくおばあさま。その顔は誕生日に喜んでいるどころか青白い何かに恐れた顔だ。

「あ、おばあさま!」
「お誕生日おめでとうございます!」
「母上、おめでとうございます!」

おばあさま「みんな、今日は辛い決定を知らせなくてはなりません。」

「「「えっ」」」

ぴたりと音が止んだ。ピリッとした空気が包む……。

おばあさま「我が息子カシスを企業グループ全体の社長の座から解任します。」

カシス「!!?」

「なっ!」

おばあさま「今後は代表権を持たない取締役とします。以上です。」

「なんですって母上それはいったい……!!」

「いくら実質的なオーナーだからってそりゃあんまりに唐突な!」

突然の事にざわつく中、おばあさまはその場から去っていく。

おばあさま「ああ」

ミハイル「おばあちゃん、ずいぶん思い切った決定をされましたね。」

おばあさま「ミハイル、ミハイル!!」

泣き崩れながらおばあさまはミハイルに抱き付いた。

ミハイル「おばあちゃん…」

今さらながら本当に自分は気にいられていたのだと実感しているとパーンッと銃声が響いた。喧噪の中、声が聞こえてくる。

「カシスが!」
「自殺だ!」

おばあさま「ッ!!」

ミハイル「おばあちゃん!ショックで気絶した。チコ、手伝え部屋に運ぶ!」

チコ「は、はい!いったいどういうことなんでしょうか……」

ミハイル「わからん。下のことも気になるが、まずはおばあちゃんのほうだ。」
48/100ページ
スキ