ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ミハイル「いわゆるひとつのワン失点を恐れないギャグの天才とエメラダ国民は僕の事を呼んでるわけだな!」

ムーン1「よくおわかりで!」

ミハイル「なんとなくそうじゃないかと思っていたが、やっぱり僕にはありあまるギャグの才能があるんだ!おばあちゃんが笑わなかったのは体調が悪かったからに違いない!僕の側の問題ではなかったのだ!ありがとう!持つべきはよい部下だ!おかげで自信を取り戻したぞ!よーし最高級のギャグを考え抜いて今度こそおばあちゃんを今度こそ笑わせてみせるぞ!」

チコ「なにをいってるか」よくわからなかったんですけど」

ムーン1「ぼくも言ってて分からなかったよ。だけど殿下は自信を回復したそうだ」

ムーン2「回復させてどうするんだ。またつまらないギャグを聞かされることになるぞ」

ムーン1「だからさ、アメリカへ行ってくれればその間は静かだし、陛下は僕たちみたいに義理で笑ったりしないのだろうから、きっと殿下は完全に自信を喪失して永久に静かになる」

チコ「なるほど」

ムーン2「意外に賢いな」

ムーンたちの思惑をよそにミハイルはギャグづくりに余念がなかった。

ミハイル「ブタがぶった、もうひとつだな。ストーブがすっとぶ。うん、これは使える。」

そして、祖母の誕生日の日……アメリカへ渡ったのだが……。

木々が生い茂り、鳥が鳴き、虫がざわめく……。

チコ「あの、本当にここですか?」

ミハイル「ここだ。ただ、いくら広い庭が好きだからってこんな原生林みたいな庭園を造らなくても……おまけに門から玄関まで3キロもある」

チコ「ここがニューヨークのど真ん中っていうのが信じられません…。」

等といいながら原生林っぽい庭を歩いていくとようやく建物が見えてきた。

警備「誰だ!とまれ!」

ミハイル「ロビンソン=クルーソーだ」

チコ「ハァハァ、ぜぇぜぇ」

「ハッハッ、相変わらずだな。ミハイル。いいんだ、怪しい者じゃない。我が一族の誉れエメラダ国王ミハイル八世だ」

ミハイル「カシス叔父さん」

カシス「よく来てくれた。みんな待ってる。」

中へと案内されるとそこはジャングルから一変してパーティ会場。

「あら、ミハイル」

「やあ、しばらく」

ミハイル「どーも、いや、どーも、どーーもーー。」

親戚が百人以上になると誰か誰だかわからなくなる。迂闊な挨拶をしてしくじらないためにミハイルは「こんにちは」も「ありがとう」も「いい天気ですね」も全部「どーも」ですませるのだ。
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