ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

チコ「それは仕事が忙しくてとかではなくて?」

ミハイル「いいや、僕はよくアメリカへいくから孫の義務としてときどきは表敬訪問する。そのたびに得意のギャグを披露してなごやかな雰囲気を作ろうとするのだが……」

チコ「得意のギャグって……」


~~

ミハイル『もやしを燃やし』

婆ちゃん『ハーーーッ……明日は雨かしら』

~~

ミハイル「そのたびに空振りに終わるのだ!僕は絶望で死にそうになってる人間だって10秒で笑わせられる!ギャグに絶対の自信を持っているのにおばあちゃんには通用しない!おばあちゃんに会うたびにひょっとしたら自分にはギャグの才能がないのかもしれないという全く根拠のない疑心暗鬼にさいなまれてしまうのだ!!」

ムーン2「(ほんとうに無いとは考えないのかな)」

ムーン1「(しっ、生きながら皮を剥がれるぞ)」

ミハイル「だから!僕はできるだけおばあちゃんのことを思い出さないよにしてるのだ!」

チコ「ああ、なるほど。それで今まで話題になることもなく、私たちも陛下の存在を知らなかったわけだ。」

ムーン1「ちょっと強引だけどそういうことだね……。しかし、見損ないましたよ殿下」

ミハイル「……」
ブビッ

ムーン1「おならで返事をすな!」

ミハイル「見損なったとはどういうことだという意味のおならモールス信号をしらんのか!」

ムーン1「ホントですか?」

ミハイル「本気にするなアホ」

ガンッ!ゴンッ!

ムーン1「ギャグが通用しないからとパーティを欠席するのはつまり的に背中を見せること!ぼくたちの知ってる殿下ならそんなことはしないはず!殿下は常に勇気をもってギャグ道を邁進するギャグの鉄人のはずではないですか!」

ミハイル「ギャグ道をストレプトマイシン?」

ムーン1「それです!」

ミハイル「どれだ」

ムーン1「おおっ、調子が出てきましたね!」

ミハイル「えっ、これでいいのか?」

ムーン1「お腹を抱えて笑い死にするほどのギャグを連発しながらなおその謙虚な態度!その奥ゆかしい人間性こそまさしく鉄人の証なのです!」

ミハイル「さっきからお前の言ってることを聞いていると、なんだか自分がギャグ界の巨人のよな気がしてくるが」

ムーン1「その通りです!ドラゴンズでもスワローズでもありません!巨人です!」

ミハイル「おおそうか!!」
46/100ページ
スキ