ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

ミハイル「最初はエメラダから叔父貴に指示を与えてたんだ。しかしそれじゃまにあわなくなって、おばあちゃん自身もアメリカへわたり、そのまま永住することになったとまあそーゆーわけだ」

「「「なーるほど」」」

ミハイル「そのおばあちゃんが今度米寿を迎える、で誕生パーティに出席しろと叔父さんから手紙が届いたんだが……」

チコ「だが?」

ミハイル「迷ってるんだ」

チコ「迷ってる?」

ムーン1「ああそうか殿下はベージュよりドドメ色がお好きですもんね」

ミハイル「なんじゃそれりゃ」

ムーン2「馬鹿だな。米寿っての八十八歳のことだ」

ムーン3「じゃあ99歳は?」

ムーン1「九十九歳は白寿だ」

ムーン3「88がベージュで99が白ということは……大変です!殿下のお好きなドドメ色は二百二十二歳ですよ!」

ミハイル「計算式が分からん!」

ムーン3「つまりベージュをX、ドドメ色をYとした場合Ⅱ=Icrtのiはファント・ホッフ係数となり!」

ミハイル「押すなー!」
ドゴッ!バキッ!

チコ「わかりませんね」

ミハイル「ファント・ホッフ係数か?」

チコ「そうじゃなくておばあさまの誕生日パーティに出席するのに、なにを血迷ってらっしゃるんです。」

ミハイル「血迷ってなんかないわい。なんていうか……おばあちゃんとは気が合わないんだ。」

チコ「えっ、なぜ」

ミハイル「僕とは正反対のタイプなんだ」

チコ「正反対というと…」

ムーン1「ガメつくなくて意地汚く無くて潰れた肉まんでもなくて」

ムーン2「心の広い部下思いのスレンダーな善良な素晴らしい人間ということですか」

ミハイル「お前らどうしても地獄が見たいんだな」

ムーン1「半分冗談です」

ミハイル「半分本気じゃないかおどれらぁァ!」
ドゴッ!ガッ!グシャッ!

チコ「つまりどういうことなんです」

ミハイル「おばあちゃんはやたらめったら暗いんだ!」

チコ「ちょっと待ってください。お話をうかがってると大変なシンデレラガールで国民に愛され、子宝にも恵まれおまけに実業の才もある。エネルギッシュなスーパーウーマンで殿下とバッチリ話があいそうに思えますが?」

ミハイル「ところが違うんだ~めちゃめちゃ陰気なんだ~。」

チコ「めちゃめちゃって……」

ミハイル「まず、おばあちゃんの笑った顔を見たことがない。」
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