ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:会社ー

ということでおマリはタクシーに乗り、ゴートン氏は急ぎ足で会社へ向かった。

秘書「どちらの案件でしょうか?」

ゴートン「ええと……なんだ処理済みじゃないか」

もちろん事前に処理しておいたものだ。

秘書「あらホント」

ゴートン「経理課長が気をきかせてくれたのかな」

秘書「かもしれませんね」

ゴートン「やれやれ無駄足だったな。8時30分かワイフがタクシーに乗ったのは8時だったからそろそろ家につくころだ」

~~

一足先に帰ったマリアは言われた通りガレージに向かう。

マリア「えーとガレージは……それにしてもこれからパーティが開かれるにしてはえらく静かだわね。まだお客さんは来てないのかしら。どっちにしても言われた通りガレージ人くれてなくちゃ」

~~

ゴートン「わたしもすぐタクシーで追いかけるよ。家まで車で30分だからちょうど9時には着けるだろう。なにしろ結婚記念日だ。ひとりにするとワイフがさみしがる。」

秘書「相変わらずおあついですね。」

ゴートン「夫婦はふだんから仲良くしなくちゃいかんよ。そうすれば(いざという時、疑われずに済む)」

ゴートンは車を飛ばしてジャスト9時に自宅に到着した。この時刻についたことは運転手が証明してくれる。ここからは時間の勝負とマリアのいるガレージへと駆けた。

マリア「ゴートンさん、お待ちしてましたよ。なんだかとても静かだからひとりていると寂しくて」

ゴートン「なぁにすぐにさみしくなくなる。あっ!」

マリア「えっ?」

マリアが余所見をした瞬間薬品をしみこませた布で口をふさいだ。数秒で意識が飛ぶ。ゴートンはマリアを布袋に詰めて担ぎ上げた。

自宅の地下室に掘っておいた穴に放り込み用意しておいた速乾性のセメントを流し込むのに五分、ただちに警察に通報して到着するまでの間に2階の死体から電気毛布をはがしたたんで戸棚に片付ける。

ひと足先に帰宅した妻が部屋を物色中の賊に殺害された筋書きの強盗殺人事件の出来上がりだ。

2階を調べてる間にセメントは乾き証拠は一切残らない。

文字通りの完全犯罪……っと、部屋の電気をつけた瞬間。

「「「サプラァーーイズ!!」」」
「「「ハッピーバースデーゴートン!!」」」

鳴り響くクラッカーに歌い始める友人知人。部屋では文字通りサプライズパーティが始まったのだ。

ゴートン「!!?」

「おい、今日は結婚記念日でもあるんだろ奥さんは一緒じゃないのか!」

「なんだなんだせっかくの誕生日にこんなにもつを担いで……なんだこれ?グニャッとしたぞ?」


~~


お熊「結局、結婚記念日を忘れないために自分の誕生日に式を挙げたのよ。学生時代の友人がサプライズパーティを計画したのが命取りになったのね。」

マリア「……」

お熊「どうしたの疲れてるみたい」

マリア「あのですね。お熊さんもいっぺん殺されかけてごらんなさい。ものすごいダメージ受けますから。」

お熊「でもよかったじゃない」

マリア「なにがよかったんですが!なにが!」

お熊「記念日が増えたでしょう」

マリア「記念日ぃ!?」

お熊「命拾いした記念日」

マリア「そんな記念日欲しくないですぅ~」
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