ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:レストランー

ゴートン「似た顔立ちのモデルがいれば化粧でごまかせると思っていたのだが妻の写真だ」

見せられた写真には自分とそっくりの女性。

マリア「まぁ」

ゴートン「そっくりだろう?金髪のウイッグをかぶるだけで完璧だ。今回はワイフをびっくりさせるわけではないのだ。当日招待客の前に君と私が喧嘩をしながら出ていって。普段仲の良い私たちが争っているので客がハラハラしているところへ本物のワイフが出ていって皆を驚かす。招待客をひっかけるためのイタズラなのだが引き受けてもらえるかな。」

いかにもアメリカ人が考えそうなことだと思いつつ。

マリア「ええ、もちろんお仕事ですから」

ゴートン「けっこう。ついては条件がある。」

マリア「条件ですか?」

ゴートン「事務所にも仕事の内容は秘密にしてもらいたい。終わってから説明するのは構わないが事前にはダメだ。なにしろ招待客の中には業界の友人もたくさんいる。万一にでも先にネタがバレたらつまらないからね。」

マリア「そういことなら……わかりました。」

ゴートン「誰かに聞かれたら新しい雑誌の仕事とでもいいたまえ。」

マリア「はい、そうします。」

ゴートン「また連絡するよ。よろしくお願いする。」

マリア「こちらこそ……そういえば」

ゴートン「ん?」

マリア「男性は結婚記念日を忘れる人が多いのにちゃんと覚えてらっしゃるのはえらいですね。」

ゴートン「忘れない工夫をしてあるからね」

マリア「え?」

ゴートン「こっちのことだ、それじゃ」

マリア「失礼します。」

マリアが去った後、ゴートンは煙草に火をつけて一服しながらつぶやいた。

ゴートン「これで妻を始末できる」

その後2度ほどあってこまかい打ち合わせ当日に着るドレスや金髪のウイッグの受け渡しも済んで……

次の週、金曜午後三時のゴートン邸。ワイフの部屋のドアをノックしてゴートンがはいる。

ワイフ「なによ」

ゴートン「今日は結婚記念日なんだがね」

ワイフは化粧を優先してゴートンの方を見ずに返事をした。

ワイフ「何を今さら大事な謝恩会があるといったでしょう。それよりメイドはどうしたの週末はサリーが休みを取るから通いのメイドを頼むようにいったはずよ」

ゴートン「頼んだよ。わざと日付を間違えて来週の金曜日にね。」

ワイフ「なんですって!!」

振りむこうとしたワイフの首に縄がかかって力いっぱい締め上げられる。
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