ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:安ホテルー

お熊「おマリちゃん、仕事よ」

マリア「はい、それで内容は?」

お熊「モデル」

マリア「モデルの仕事?」

お熊「前回もうかったから少しお金を使ってモデルの大手プロダクションにあなたを売りこんどいたの。日本から来た日系三世のエキゾチックなモデル、ミス=蝶々としてね」

マリア「マダム=バタフライ(※)のもじりですか。それにしてもいろいろ考えますね。」

※:アメリカの弁護士ジョン・ルーサー・ロングの短編小説

お熊「なんなりと儲けなくちゃいけないもの、美人局もそれなりにもうかったことはもうかったけど、でもあまり綺麗な稼ぎ方じゃなかったでしょう?」

マリア「美人局の時点で綺麗も何も……」

お熊「おマリちゃんの写真をのせたとたんにオファーが来たわ。うまくいったら何人か女の子を雇ってモデルの会社を作れるわ。憧れのファッション業界に進出できるのよ。なんといってもあたしは以前数年にわたってパリコレでモデルをやってましたからね」

マリア「えっ?」

本当ですかとつっこみたいが勇気がないマリアでした。

お熊「おマリちゃんしだいでモデル界に足掛かりができるのよ頑張ってね。」


~~


そして翌日、おマリは黒髪ロングのウィッグにメイクでアダルトな雰囲気で待ち合わせの喫茶店についていた。

ゴートン「お待たせしました。フラッシュ=バック=ゴートンです」

三十代後半といったところのスーツの男性が声をかけて手を差し出してきた。

マリア「モデル事務所から派遣されてきたバタフライです。よろしく」

握手を返すと、ゴートンはうんうんっと何度かうなずいた。

ゴートン「違うのは髪の色だけだ素晴らしい」

マリア「は?」

ゴートン「いや、私はアパレル関係の会社を経営しているが今度お願いしたいのはモデルの仕事ではないのだ。」

マリア「といいますと?」

ゴートン「実は来週の金曜日が結婚記念日でね」

マリア「(なんだか記念日が続いてるわね)」

ゴートン「友人を大勢集めてサプライズパーティをやろうと思っているんだよ」

アメリカでよく行われるサプライズパーティ。友人の誕生日などに本人には知らさず準備して、場合によっては合鍵まで作って彼(彼女)の部屋(家)の中にプレゼントなど全部の用意をしておいてサプライズ(ビックリ)!させるパーティです。
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