ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国:エメラダ宮殿ー

リスボン「僕とヘルムートは大学の同期だったんです」

ミハイル「専攻はなんだったんだ?」

リスボン「経済学部デザイン学科で歴史学を専攻してました」

チコ「え、なんで?」

ミハイル「どうして経済学部にデザイン学科があって歴史学を教えるんだ!いったいどこの大学だ!」

リスボン「殿下も出たエメラダ大学」

ミハイル「実は僕は文学部家政学科で量子力学を専攻したのだ。」

チコ「無茶苦茶すぎる。……話を進めてください。」


~~


リスボン『大学を出てから数年ぶりじゃないかなつかしいなあ。ほら、よく一緒に授業をサボったトンボメガネのジャンジャック彼は今ダイヤモンド鉱山の監督をやってるんだよ』

ヘルムート『へぇ…』

リスボン『君はヨーロッパの大学に入り直して博士号を取ったって風のうわさに聞いたけど』

ヘルムート『うん…向こうで就職してね』

リスボン『僕はごらんの通りムーン部隊さ、今日は帰省?それじゃさっそくご両親に…』

ヘルムート『いや、家へは帰らない。ちょっと訳ありでね……』

女性『……』

ヘルムート『税関で働いてるならちょうどいい頼みがあるんだが』

リスボン『何だい』

ヘルムート『僕たちはこれからエメラダ第二ホテルに宿をとる。どれくらい滞在するかわからないけど、もし、もしもだよ。肩まで黒髪に黒ずくめの服装顔に傷のある50がらみの男が税関を通ったら知らせて欲しいんだ。』

リスボン『肩までの黒髪に黒ずくめの服装?』

ヘルムート『特徴のある人物だからすぐわかると思うよ』

リスボン『顔に傷があってどことなく陰気な感じのする?』

ヘルムート『えっ?』

リスボン『そういう人物ならさっき通ったな』

女性『きゃぁっ!ヘルムート!!』

いきなり彼女らしき女性が悲鳴をあげてヘルムートに抱き付いた。彼自身も顔面蒼白になっている。

ヘルムート『先回りされた!?どうやって……!?リスボン、すぐに次の便のチケットを取ってくれ!行先はどこでもいい!』

リスボン『残念だけど今日はもう出発する便は無いよ…』

ヘルムート『なんてこった!!』

女性『ああ、どうしたらいいの!』

リスボン『何か事情がありそうだな。待っててくれ。後退してもらうからホテルまで一緒にいこう』


~~


チコ「それで?」

リスボン「というわけで3人で第二ホテルへいったわけです」
34/100ページ
スキ