ー日常ー街の住人達【6】

ーホテル:スィートルームー

お熊さんは声をひそめていった。

お熊「(ごらんの通り、あなたをだました男です。警察に突き出しても裁判となったら時間がかかりますし、有罪になっても詐欺では何年も刑務所に入るわけではありません。出てきたらまた犯罪を繰り返すでしょう。電話で説明したようにそれよりはあなた自身の手で彼を罰するほうが直接的でしかも恨みが晴れるのではないでしょうか。)」

被害女性「(そううかがったので謝礼を用意してきました。で、罰するってどうやって?)」

女性はバックから分厚い封筒をお熊さんに渡す。

お熊「(このスイッチをどうぞ)では、治療を始めます。」

太い指が3.2.1っとカウントした。

被害女性がスイッチを入れると……。

ジョセフ「ぐわあああぁっ!」

マリア「うわぁ…。」

どうやら、あのスイッチはおケツに入った電極のスイッチらしく体内から放電してジョセフは悲鳴を上げながら大きくはねた。

もちろん縛り付けているのでどれだけ暴れようとしても逃げることはできない。

ジョセフ「ハッ、ハッ!ぎゃああぁっ!」

被害女性「(よくもあたしの真心を踏みにじって!これでもか!これでもか!)」

スイッチを入れては切り入れては切りして地獄の苦痛を味合わせているうちに、ふっと悲鳴が聞こえなくなった。

マリア「どうやら失神したようです」

お熊「気付け薬の用意」

マリア「はい」

お熊「いかがです?お気がすみましたか」

被害女性「彼のためにつらい思いをさせられた時間を取り戻せるわけではないけど……でも、スッキリしました。ふんぎりをつけて新しい生活を始められそうです。どうもありがとう。」

涙を拭いて女性は部屋を出ていく。

お熊「まいどありー。次の方どうぞー

ということで6人の女性が入れ代わり立ち代わり。

ジョセフ「やめてくれーっ!!こんな苦しい思いをするなら死んだほうがましだー!!」

お熊「なにを軟弱なことを!がんばるのよ!」

ジョセフ「無理だぁぁ!!」

詐欺師が涙ながらに叫ぶのも無理はないが自業自得といえば自業自得だ。

マリア「えーと、最後の方」

お熊の代わりに外で待っている最後の被害者を呼び込んだ。

女性「どうも」

赤ん坊を抱いた若い女性だった。たださっきまでと違うのは、どこか落ち着いているというか恨みや殺気に似たものを発してはいないところだ。
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