ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:ホテルー

お熊「あさってといった意味が分かったわ。二日でお金をかき集めて今度こそ本当にスイートに泊まるのよ。それでおマリちゃんといい仲になって……ふんっ、なれるもんならなってみろ!だけどね!」

マリア「(やっぱり相当敵視してるなぁ)」

お熊「で、何度かデートして信用させてからうまく話しを切りだす。なんていうかしらね。そう、でまかせで中東といってたからそこから広げて……」

『実は中東の王族に認められて石油会社の重役にむかえられることになった。そのために我が国に事務所をつくらなくてはならないが資金が不足している。』

マリア「貯金ぐらいないんですか?」

『恥ずかしい話だが母が長い間病気で貯金を使い果たしてしまった。君を重役夫人にするためにどうしてもあと5万ドル……ああどうしたら……』

お熊「てな感じかしら」

マリア「そういわれたら出したくなりますね。よく知ってますね。」

お熊「結婚サギの手口はいやというほど……いえその、とにかくこのままにしておくとこんな手で多くの女性がだまされるわ。ほうっておけないわよ。」

マリア「そうですねぇ。警察に通報しますか?」

お熊「手ぬるいわ。詐欺師をギャフンといわせて今までだました女性を救済してなおかつあたしたちが儲かるやり方でないと」

マリア「そんなことできますか」

お熊「その方法をこれから考えるのよ」

マリア「はぁ…」


~~


お熊「もしもしおマリちゃん?」

マリア『はい?』

お熊「標的(ターゲット)がお金の工面に走り回ってる間に大酒のみに協力させて部屋を調べたの面白い物が見つかったわ」

マリア『なんです?』

お熊「今までだました女性の記録よ」

マリア『へーえ』

お熊「住所、姓名、年齢からだまし取った金額まで書いてあるわ。」

マリア『ドロボウでもこまめに盗みの記録をつけてる人がいるそうですね。どういう犯罪心理でしょう』

お熊「そんなこと知らないけど、でもこれは利用できるわ」


そしていよいよあさって約束の夜……

ジョセフ「今夜まにあうように帰ってこれてよかった。」

マリア「お仕事が忙しかったの?」

ジョセフ「というか向こうで知り合った王族の方に気にいられてね。実はパイロットになる前は実業家になりたくてね。経済学で博士号を取った話をしたら興味を持たれて……いや、それはいずれ説明するよ」

マリア「(石油会社の重役の話題の布石ね。さすがお熊さん鋭いわ。でも知らなかったら絶対嘘ついてるようには見えないわ。この人役者になれば成功したでしょうね。)」
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