ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ:ホテル外ー

お熊に尾行されてるとも知らずに彼は最上階へ……行くかと思いきや

お熊「あらっ下りのエレベーターに乗った。下に何か用かしら。」

ライオネス「……」

ところが彼はそのままホテルを出て歩くこと数ブロック。

お熊「寝る前の散歩かしら……にししちゃ向かってる方向がおかしいわね。」

下町からさらに貧しい人の住んでいなさそうなあたりに出て……とある安アパート。

その壁を背に座っているぼろを着た男がニタニタと笑いを浮かべていった。

浮浪者「よう、ジョセフ」

ジョセフと呼ばれたライオネスはその男の前に何枚かの硬貨を投げた。

ジョセフ(?)「金づるになりそうな女を捕まえた。前祝いだ、とっておけ」

浮浪者「こいつぁ、豪気だ。ありがとよ」

建物の陰から見ていたお熊さんはジョセフが猿と同時にすぐに浮浪者の前へと移動した。目の前にド太い足が現れて浮浪者はバッと見上げた。

懐から一瞬だけ手帳を取りだしてすぐに懐にしまってお熊さんは唸るように言った。

お熊「麻薬捜査官よ!今の男は何者!」

浮浪者「ひぇっ麻薬Gメン!ジョセフ野郎結婚詐欺だけじゃなくヤクまでやってやがったのか!」

お熊「!!」

浮浪者「しっ、知らねぇ!オレは大酒のみだがヤクはゃってねぇ本当だ!」

お熊「極秘捜査中なのよもしあたしのことをしゃべったら同罪よ!」

浮浪者「ひぇー喋りません!!」


~~


お熊さんはホテルへ戻ると事の次第をマリアへと話した。

マリア「結婚詐欺!?子供の私から見ても好男子でしたよ……。絶対騙されちゃうでしょうね。」

瞬間、お熊さんは手に持っていたジョッキグラスを握りつぶした。とうぜん、手には傷ひとつついていない。

お熊「許せない!痴漢や下着ドロは女の敵中でも結婚詐欺は殿方の風上にも置けない最も卑劣な犯罪者!!このアーカンソーツースピック(※)で!」

※:先端が鋭くとがった、先細りの短剣。

そのナイフを構えてドアの外へ飛び出そうとする。

マリア「わーっ!」

お熊「離しておマリちゃん殺しゃしないわ!ナニを切り落として二度と悪さができないようにするのよ!」

マリア「それも大概ですよー!!とりあえず、落ち着いてください!そんなことしたらこっちがつかまっちゃいますよ!!」

お熊「ふーふー!」

マリア「それにしても過激な反応ですね。以前結婚詐欺師となにかあったんですか?」

お熊「ギクッ……可愛い花嫁さんを夢見たこともあったのに……って、あたしのことはどうでもいいのよ!!ほっといたら犠牲者が増えるのよ!なんとかしなくちゃなのよ!」

マリア「そういわれればその通りですが」

お熊「なによ歯切れ悪いわね!」

マリア「私たちだって美人局を計画してたんですよ。美人局と結婚詐欺ではどっちの罪が重いのでしょう。」

お熊「それはまあおいといて。」
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