ー日常ー街の住人達【6】

ーエメラダ:宮殿ー

ミハイル「ハーッ…」

チコ「どうしたんだろう元気がないですね。」

ムーン1「今日アントワープの業者と会うそうなんだが、人件費の高騰を理由にダイヤの原石のカット代の値上げをせまられてるらしい。」

チコ「なるほど経費が増えれば儲けがへりますもんね。」

ムーン1「殿下らしいというか人間なみに悩むなんて生意気というか」

チコ「あはは」

ミハイル「なにい!?人間並みとはどういう意味だ!」

ムーン1「殿下は人間でしょう?」

ミハイル「あたりまえだ!」

ムーン1「犬並みとか子猫なみといったんじゃないんです。人間を人間並みといってどこが悪いんですか?」

ミハイル「それは…………いいのかな」

ムーン1「そうそうまあお茶でもどうぞ」


ミハイル「なんだか誤魔化されたような気がする……おや茶柱だ。」

ムーン1「縁起がいいですね。きっと商談もうまくいきますよ」

ミハイル「ズズッ、そうだなくよくよしても始まらん。茶柱を頼りに行ってくる。」

チコ「……わざと茶柱を?」

ムーン1「人間並みだから気をそらすためにね。ちょっとしたコツで簡単に立てられるんだ。」

ミハイル「うまくいったーー!!」

「「早っ?!」」

ミハイル「カット代据え置きが決定したぞ!若干の値上げは覚悟してたのにこんなにうまく話が運ぶなんて茶柱効果は素晴らしい!!」

チコ「茶柱のせいでしょうか?」

ムーン1「偶然だろう…」

ミハイル「実は午後からも商談があるのだ!もう一度茶柱入りの茶を飲みたい!!」

ムーン1「はいはい」

てきぱきとお茶を淹れてミハイルに差し出す。

ミハイル「おおっ、今度は茶柱が三本も!」

ムーン1「サービス」

チコ「変わった特技を持ってますね。」

ミハイル「いってくる!!」

チコ「はーい、いってらっしゃい」

ミハイル「成功だ!!」

チコ「だから早い!!」

ミハイル「引き取り手のなかったくずダイヤをめちゃくちゃ高く売りつけてきた!茶柱さまさまだ!!」

チコ「ほんとかなぁ…」

ミハイル「気になった用事もこのいきおいで片づけてしまおう!おかわり!」

ムーン1「いくらでもいれますけどね……」

ミハイル「うおおおっ茶柱がいっぱい!やたら縁起がいい!!」

チコ「明らかに人為的に入れてるんですがそれは……」

ムーン1「いいんじゃないかな……本人は大満足してるし」
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