ー日常ー街の住人達【6】

ーアメリカ某所ー

お熊「だからっ!!どうして勝手にお金を使っちゃうのよ!」

マリア「わーんっ!すいませーん!!」

おマリとお熊さんがもめています。

ご承知の通り二人は代理奥様稼業で一儲けしようとアメリカにやってきたのですが前回せっかく稼いだオゼゼをおマリが使いこんでしまったのです。

お熊「なにか弁解は!」

マリア「使いこんだとは心外です!私は父の残した借金を返済しなくちゃならないんです!だからちょっと拝借して日本に送金しただけです!」

お熊「二人で稼いだオゼゼを」

マリア「はぁ」

お熊「私に断りもなく日本に送金したと」

マリア「そうです」

お熊「それを使いこんだというのよ!」

マリア「ごめんなさーい!!」

お熊「はぁ…」

マリア「モーテルも追い出されちゃいましたね。」

お熊「一文無しとバレちゃあね」

マリア「これからどうします?」

お熊「野宿するしかないでしょ」

マリア「食事もまだなのに野宿ですか」

お熊「この辺りには野ウサギや地ネズミがたくさんいるわ。食料は確保できるわよ」

マリア「どうしてわかります?」

お熊「足跡があるわ」

ゴン太……もとい立派な指がさした地面を見て見るが足跡のようなものは見当たらない。

マリア「どこに?」

お熊「素人には無理よ。枯れ枝を集めておいてね。」

マリア「はーい」

30分後お熊さんはウサギを二羽捕まえてきました。皮を剥ぎ内臓を取りだしてから肉を切り分け、アウトドアクッカーを取りだした。

お熊「クッカーはチタンに限るわ。イオン化しないから金属臭がうつらないし、なにより軽くて丈夫なの。」

マリア「いつもナイフや食器を持ち歩いているんですか?」

お熊「乙女の嗜みよ」

マリア「かまどができました。」

お熊「じゃあ、ちょっと下がってて」

お熊さんは細い棒状の何かを枯れ枝に向ける。

マリア「それは?」

お熊「ファイヤースターター」

ナイフのエッジでマグネシウムの棒を削り。さらにナイフの背で強くこするとジャッと音をたて強い閃光とともに炎があがる。

マリア「すごい!」

お熊「濡れてる草でも燃やせるわ」

モーテルで汲んできた水にウサギの肉と食べられる草の根、ひとつまみの塩を加えひと煮立ちさせると美味しいシチューの出来上がり。

マリア「美味しい、美味しい!お熊さんて本当になんでもできるんですね、尊敬してしまいますよ。」

お熊「ありがとう、おマリちゃんも私みたいな「レディ」をめざすといいわ。はい、エマージェンシーブランケット」

マリア「銀紙?」

お熊「紙ではないけど体温の80%を反射するからあったかいわよ。」

マリア「ホントだ。あったかーい」

お熊「それじゃあ、お休み。」
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