ｰバレンタイン邸ｰ

お熊「コホン……奥様に…失礼ながら豚呼ばわりされてひきさがるのは男らしくないと思いますわ。三週間でビックリするほどやせて奥様を見返してこそ男じゃないでしょうか」

ボビー「やせられるかな!?」

お熊「お任せください」

ボビー「頼みます!」

マリア「ひそひそ(ずいぶん熱心にダイエットを勧めますね。)」

お熊「ぼそぼそ(一日こっきりの仕事が三週間に伸びたでしょう)」

ああ、おゼゼのためかっと納得したマリアでした。

そんなこんながあって次の日……まず運動、そして半身浴、お風呂上りにはお熊さん特製の唐辛子を主成分としたクリームでマッサージ。

マリア「いきますよぉ」
グッグッ
ボビー「うわっ、しみる……」

さらに厳格な食事制限。

マリア「成人男性に必要なカロリーギリギリの根菜と鶏肉の煮物です。」

広いテーブルにひと皿だけおかれる。

ボビー「これだけ?!」

マリア「Exactly」

ボビー「い、いただきます……」

という生活を続けること5日、ボビーのふくよかだった頬はだいぶこけていた。

マリア「痩せたというよりやつれましたね。」

お熊「第一段階はこんなものよ」

さらにメニューをこなしながらどくだみで余分な老廃物を強制輩出。運動量を増やしてカプサイシンのサプリを大量摂取。

十日が経つころにはハッキリと痩せたのが目に見えてきた。

マリア「少しお肉が落ちてきましたね!」

お熊「順調よ、このままいったら三週間でハッキリと結果が出るわ。」

マリア「お熊さんがダイエットのプロヘッショナルとは知りませんでした。」

お熊「女性の嗜みよ。もっともあたしならこんな無茶なダイエットはしないけど。」

マリア「えっ、どうして?」

お熊「身体に悪いもの」

マリア「……はいぃ?!」

お熊「でもいいの、謝礼をもらうためには目に見える結果を出さなきゃだし、それに」

マリア「それに?」

お熊「無理がたたって病気になってもどうせ赤の他人よ」

マリア「割り切ってますねぇ」

さらにメニューは続きます。ジョギングに
出かけようとしたボビーは声をかけられた。

「旦那様」

ボビー「通いの庭師じゃないか。何のようだ。」

庭師「へっへっ」

うすら笑いを浮かべて携帯をボビーに向けてくる。そこには横になって唐辛子クリームを塗りながらのマッサージを受けているボビーの姿。