ー日常ー街の住人達【6】

ーバレンタイン邸ー

ボビー「すしバーで和食はよく食べるけどこんなのは初めてだ!」

お熊「(肉じゃがを出す店は少ないでしょうねえ。)」

ボビー「おかわり!」

お熊「おマリちゃん、どんどん作って!」

体形どおりの食欲。おマリはすぐにキッチンへと駆け込んで次の品に取り掛かった。

マリア「一品だけじゃさみしいからキンピラゴボウにひじきの和え物、ついでにオカラも炒めてみました。」

お熊「アメリカの家庭によくそんな食材があったわね。」

マリア「あったんだからしょうがないでしょう」

ボビー「いやー、これも、こっちも美味い!」

お熊「和食はヘルシーですからどんどん召し上がれ。」

マリア「おや?」

っと、窓の外に高級車が停まるのが目に入ったる。女性がひとりズンズンとこっちに近づいてくる。

「まったくフランスの友達に自慢しようと思ってたハリー・ウイストン(※)の新作を忘れるなんて。」

※:アメリカの超高級宝飾店。

ボビー「ワイフの声だ!?忘れ物を取りに帰ったらしい!君隠れて!」

マリア「え、なぜ?」

ボビー「ワイフも大学の同級生で当然マシュマロの事も僕が彼女に憧れてたのも知ってるんだ!せがまれて結婚した時マシュマロの事は忘れると約束させられたのに君の顔をみたらどんな騒ぎになるか!」

お熊「隠れて!」

マリア「ぎゃん!」

文字通り熊のような足で尻を蹴られてマリアはテーブルの下に押し込まれた。

ワイフ「……」

ボビー「や…やあ」

ワイフ「そちらは?」

お熊「コックでございます。依頼を受けてヘルシーな料理をつくりにまいりました。」

ワイフ「ふーん……ダイエット?」

ボビー「ま、まぁね」

ワイフ「けっこうね。コックさんせいぜいマズくて食欲のわかない料理を作ってやってちょうだい。豚の餌にはちょうどいいわ。」

そういい切ると忘れていったバックをひっつかんでワイフはすぐに出ていってしまう。

ボビー「……」

マリア「うわー……美人だけどキツイ奥様」

お熊「ボビーさま、次に奥様がお帰りになるのは?」

ボビー「え……ああ、三週間後」

お熊「本気でやってみます?ダイエット」

ボビー「えっ」

お熊「私、殿方の事はよく分からないのですが」

ボビー「えっ、でも君も殿方じゃ」

お熊「ぶほほほっ!ボビーさまはお目がお悪いのかしら、あたくしれっきとした女性ですのよ」

ボビー「アッハイ…」
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