ー日常ー街の住人達【6】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「ところがですね。人気があるとは思えない殿下にとせうしてファンクラブができたのか気になって」

ミハイル「おまえ、たいがい言いたいことを言い倒してるな」

チコ「それはさておき、気になってよく調べてみたら、ミハ女に入会すると全員に一万円の商品券をプレゼントするシステムだったんです。」

ミハイル「なんだと!ぼくも入会する!」

チコ「そこでなくて!」

ミハイル「なんだ」

チコ「よく考えてください!一万円ですよ!会員は約二百名!あわせて二百万円!そんなお金どこからでるんです!」

ミハイル「……ミハ女の事務局かどこかに聞いてみればいいじゃないか」

ムーン1「ところがそんなものはありません。」

ミハイル「……は?」

チコ「どこを探しても母体となる組織もなにもないんです」

ムーン1「なのにどこからお金は出てくる。わけがわかりません。」

ミハイル「ええっ?わけがわからないのはこっちだ。」


そんな会話があった次の日、ミハイルはすっかり昨日のことなどは忘れて廊下を歩いていました。

ムーン「殿下、ありがとうございました。」

すれ違い際にムーンのひとりから身に覚えのないお礼をいわれた。

ミハイル「えっ?なんのことだ……わからんな。」

何かの勘違いだろうと思っていたのだが。

ムーン「殿下、どうもさきほどは」

ミハイル「えっ?」

ムーン「お世話になりました。」

また、すれ違いざまに礼をいわれた。もちろん、イタズラはしても礼を言われるようなことをするミハイルではない。

ミハイル「ちょっと待て!」

廊下の角を曲がったムーンを追ったが既に見当たらなくなっている。

なにかがおかしいっと首をかしげていると近くのドアが開いた。

ムーン「あっ、殿下おかげさまで助かりました。」

まただ。ミハイルはすかさずいった。

ミハイル「なにが助かったんだ」

ムーン「ハッハッまたまた」

ミハイル「またまたじゃない!なにが助かったのか説明しろ!」

ムーン「とぼけますねぇ。殿下も人が悪い。ハッハッハッ」

笑いながら今しがた出てきた扉に入り直すムーン。

問い詰めようとドアを開けて追いかけようとしたが部屋の中には誰もいなかった。

ミハイル「いない!なんだこれは!ミハ女の件といいなにかがおかしい!なにかが起きている!」

思い出してみればさっきのムーンたちは何番のムーンだったのかも分からなかった。
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