ー日常ー街の住人達【5】

ーアラファト家政婦派出所ー

夢前マリアは家政婦です。

いろんな仕事をこなしますが前回はアメリカ人実業家の奥さまの代役を務めました。

おマリにそっくりでマシュマロというあだ名の奥さま。大学時代は男子学生の大人気でマリリン=モンローの再来とまで言われた学園のマドンナ。超(スーパー)アイドルだったのです。

信じられないかもしれませんが本当です。

マリア「失敬な」

実業家のビンセント氏がかつての学友におマリのことを話したところ。

ビンセント「本当だってマシュマロにそっくりの女性が日本にいるんだってば」

昔の憧れの君によく似た女(ひと)と(おマリが子供なのは内緒です)食事だけでもしてみたいという要望が殺到してその結果……。

お熊「おマリちゃん」

マリア「なんですお熊さん」

お熊「アメリカに行くわよ」

マリア「……はい~!?」

お熊「だからさ例のビンセントさんのお友達から沢山オファーがきたの」

マリア「背もたれや座面にクッションが効き、ゆったりと座れる長椅子」

お熊「それはソファー」

マリア「本物の毛皮を模したパイル織物の一種」

お熊「それはフェイクファー」

マリア「えーと……」

お熊「ダメよ。ボケても逃げられないわよ」

マリア「アメリカで何をするんです」

お熊「パートタイムワイフ」

マリア「パートタイム……え?」

お熊「青春時代にあこがれたマドンナと一日だけでも夫婦気分を味わいたいというかつての男子生徒たちの夢をかなえてあげるの。」

マリア「えー……」

お熊「大丈夫。夜のお相手までしろとは言わないから」

マリア「できるかっ!っていうか、本人じゃないんですよ代役ですよ?」

お熊「もちろん皆さんそれを承知の上でそれでも甘酸っぱい思い出に浸りたいんでしょうね。殿方の心理は良く分からないけど」

お熊さんは根っからの「女性」です。

マリア「はぁ…」

お熊「そうと決まったら準備しないと」

マリア「準備って?」

お熊「パスポート持ってる?」

マリア「いいえ。」

お熊「すぐに手配するわ。英語は喋れるの?」

マリア「ディスイズアペーン」

お熊「荒井注レベルね。それが限界?」

マリア「イエスアイドゥー」

お熊「じゃあこれ、あたしが作った促進睡眠英会話学習テープよ。一週間で日常会話ぐらいなら話せるようになるわ。」

マリア「は、はぁ……」

お熊さんはなんでもできるスーパー「ウーマン」です。
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