ー日常ー街の住人達【5】

ー森林警備隊官舎:内部ー

ミハイル「待てよ。プロフェッサー、この肉の塊は殺された人間の残骸でしょうね」

ニド「うむ。何者かは知らんが一人ずつ片付けにかかってるんだ」

警備隊A「ええっ、それじゃ分散して捜索したのはマズかったですね。」

ムーン1「みんな一緒に行動するべきだった…」

チコ「でもまさかこんなに立て続けに襲ってくるとは予想できなかったわけですし…」

ミハイル「とりあえず肉の塊がいくつあるか数えよう。」

今度はバラバラには行動せずに、みんなで固まって四方を警戒しながら肉塊を数えて最初の部屋へと戻った。

ムーン2「3つでしたね。」

ミハイル「この官舎には警備隊員が何人いたんだ?」

警備隊A「私たちを含めて五人です」

今この場に残っている隊員は三人。

ミハイル「外から来たのはぼくとチコとムーン2人、それとプロフェッサー=ニド。5人足す5人で10人。肉の塊が3つあったという事はすでに3人殺されているはずで10引く3は7。つまりここは僕を入れて7人しかいないはずなのに……8人いるのはなぜだ?」

「「「あっ…!?」」」

全員が顔を見合わせ声をあげた。

ミハイル「プロフェッサーどうやら宇宙からのお客さんは自由に姿を変えられるようですね。」

ニド「うーむ、われわれが目撃した2体の化け物は人間に姿を変じる練習中の過程の姿だったのだろう。3番目にして完璧に変身に成功して、われわれの中に紛れ込んだ」

ミハイル「そして3人も殺されている事実から見ても控えめに言って、たいして友好的な宇宙人ではない。ハッキリ言えばそいつをここから逃がしてしまうと地球は大変なことになる。アメリカの大統領に化けて気まぐれに核ミサイルの発射スイッチでも押されたらちょっと困ったことになるぞ」

チコ「ちょっとって…」

ニド「血液!いやDNAの分析をしよう!いくら何でもそこまで完全に人間に化けるのは不可能だろう!!」

ミハイル「(時間がかかり過ぎる。時間がかかればかかるほど敵に有利何としてもたった今片を付けなくちゃならない。さあどうする。)」

チコ「殿…」

ミハイル「動くな!」

チコが動こうとした瞬間、ミハイルは散弾銃を構えて自分以外の全員を視野に入れる。

警備隊A「待て!私が事実として知っているのは自分が宇宙人でないという事だけだ!1人だけ武器を持っている君が宇宙人でないという証拠があるか確かに人間だというならみんなの安全のために武器を捨てたまえ!」

ミハイル「よくいった!それはそのまま僕のセリフだ!僕も自分以外の誰かが宇宙人という事しか知らない、しかしそいつを見逃せば地球のためにならないことは明白!やむをえん世界のためにお前たち全員を殺す!」

ミハイルの指が散弾銃のトリガーに力を込めた。瞬間、みんな身をかがめて射線から逃れようとする。

ニド「……ハッ!」

ミハイル「お前だ!」

ドンッと発射される散弾。ニドだった者に数十の穴が貫通する。しかし、倒れることはなくミヂミヂと肉を変質させてミハイルに襲いかかろうとした。

ミハイルは懐から何かを取りだしてニドだった者にぶつけるとガシャンっと音を立てて中の液体が振りかかった。さらに、火のついたマッチを投げつけると真っ赤な炎が宇宙人の全身を包んだ。

「グエエエエッェ!!』

三名の尊い犠牲者を出した例の事件(Xファイル)は終焉を迎えた。念のため宇宙船はミハイルが引き取り完全に破壊して全てを溶鉱炉で消滅させた。

ミハイル「変身自由な怪物だから散弾銃で撃たれたくらいじゃビクともしない、そう考えて油断してたから必死で身を伏せたお前たちとワンテンポずれたんだ。」

チコ「何者だったんでしょう」

ミハイル「さあな、悪い宇宙人もいることを肝に銘じておこう。」

チコ「ところで、よくあんな燃える液体を持ってましたね。」

ミハイル「魚から取った油だ。今度専用機にでも使ってみようと思って」

チコ「また燃えちゃいますよ」
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