ー日常ー街の住人達【5】

ー森林警備隊官舎ー

ミハイル「国王がしっかりしているからエメラダには宇宙からの出稼ぎ宇宙人がたくさんいる。しかし、その事実を外国の人間に知られてはならん。彼らの化学力を利用しようとする奴が現れるし、エイリアンに対する差別問題も……」

ムーン1「最初に何といいました?」

ミハイル「国王がしっかりしているから」

ムーン1「えっ?もう一度」

ナイフ、矢、斧、棍棒、蝙蝠傘、天狗の面、ハリセン、国語辞典、などなどどっから出したかわからない数々のものがムーン1の全身に突き刺さった。

ミハイル「ハァハァ……もう一度いってやるからよぉぉぉく聞け。国王が!しっかり!!」

ムーン1「ぞん……ぶんに……わかりました」

チコ「何やってるんですか…」

ミハイル「だから宇宙人の話題については話を合わせておけ。」

「「「わかりました」」」

ムーン2「ええっ!地球外生命体!!」

ニド「そうです」

ムーン2「という事は子宮外妊娠とは関係ないんでしょーか!」

槍、鉈、なぎなた、拳銃、釘、やっとこ、ひよっとこ、トンカチがムーン2の頭に突き刺さる。

顔面全体に青筋を浮かべたミハイルがいった。

ミハイル「話を合わせろといったんでややこしくしろとはぁ~」

ムーン2「わかりました、すいません、すいません」

チコ「……」

このとき、チコは一国の王様がアホだと部下もアホになるんだなぁと思うと同時に自分は気をつけないといけないと深く心に刻み込んだ。

ミハイル「つまり信連警備隊の諸君にはあつかいかねる問題だから、われわれ科学者を呼んだわけですね。」

警備隊A「その通りです」

ミハイル「なるほど。よっこいしょ」

小型といえどそこそこ大きめのスターシップにミハイルは梯子をかけてよじ登った。

ニド「ミハイル君、どうでしょうか」

ミハイル「そうですねぇ」

ハシゴを支えながらチコが小声で尋ねた。

チコ「(どうです?)」

ミハイル「(友好的な宇宙人が事故で墜落したのならコッソリ助けてやらなくちゃならんだろうしな)」

チコ「(難しいですね)」

ミハイル「乗員はいなかったんですか?」

警備隊A「それがわれわれが発見した時にはそのガラス状の風防がパカっと開いてまして」

ミハイル「この風防が?」

躊躇なく小槌で風防を叩くとパカッと勢いよく開いてそこにまたがっていたミハイルは投石機に乗せられ石のように宙へと舞った。

山の中へと落下する。

ムーン1「…………二百ヤードくらいかな」

ミハイル「ぼくはゴルフの球ころじゃない!!」

ムーン1「球ころ?」

チコ「よく戻ってこれましたね……。」
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