ー日常ー街の住人達【5】

ー上空ー

いま、ミハイルは新しいエメラダ国王専用機懐かしの銀巴里(ぎんぱり)号に乗っています。

ムーン60「どんなネーミングだ」

チコ「前は暁の銀鷲号だったんですけどね。」

ムーン60「前のはってどうしたんですか?」

ムーン1「燃えた」

ムーン60「……はぁ?」

チコ「カンボジア上空を飛行中エンジンルームから火を噴いてそのまま墜落。殿下を含めて乗組員はパラシュートで飛び出したから助かったけど」

ムーン60「危ないなぁ。出火の原因は?」

ムーン1「ガソリン節約のために魚から取った油を使ったのがいけなかったらしい。」

ムーン60「化け猫が甞めそうな油だなぁ…」

ムーン2「エンジンそのものに問題があったんじゃないか」

チコ「中古タクシーのエンジンだったらしいですからね」

ムーン60「中古タクシーのエンジン?!」

ムーン1「そうだよ。」

ムーン2「なんだ、こいつなんにも知らないんだナ」

ムーン60「きのうまで地上勤務だったんだからしかたないだろう!この飛行機は大丈夫なんだろうな!」

チコ「ダイジョウブデスヨー。チュウコトラクターノエンジンデスカラー(白目)。」

ムーン60「降ろしてくれーー!!」

ミハイル「なにを騒いでる。」

ムーン1「新米クルーが何も知らないんですよ。チコさんでも落ち着いてるのに」

チコ「私は諦めてるんです(白目)」

ムーン60「トラクターのエンジンでどうして飛行機が飛ぶんですか!」

ミハイル「それには理由がある」

チコ「えっ、無理やり飛ばしてるんだと思ってたけど理由があったんですか」

ムーン1「その理由とは?」

ミハイル「私が念力で飛ばしているのです」

チコ「新興宗教の教祖ですね、まるで」

操縦者「殿下、高周波帯域での非常通信が入りました。」

ミハイル「救難信号か?補足して増幅しろ」

操縦者「細く増幅してスピーカーに流します。」

【この連絡を受信する範囲内に世界科学者会議のメンバーはおられないか】

ミハイル「世界科学者会議極東支部東埼玉代表補佐ミハイル八世です。ただいま新型専用機の試験飛行中」

チコ「訳の分からない肩書」

『同じく世界科学者会議の会員、スジャータ公国のプロフェッサー=ニド付近を気象観測のためジェットヘリで飛行中』

ミハイル「おおプロフェッサー近くにおいでですか」

『ミハイル君かしばらく』

ミハイル「半年前の国際会議以来ですね。あの二次会では受けましたねぇ。プロフェッサーの裸踊り」

『いやー、君のおケツにロウソクを挟んでやる蛍踊りもなかなか』

【裸踊りも蛍踊りもどうでもよろしい!緊急事態なのです!!】
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