ー日常ー街の住人達【5】

ーホテル:VIPルームー

マリア「なんで豚肉を……」

お熊「身近に手に入るもので相手に効果的に恐怖感を与える。これは文字通りテロリストの手口よ」

マリア「おかしいじゃありませんか。身代金の要求ならわかるけど、プロがなぜチェーン展開の延期なんか求めるんです。」

お熊「裏がありそうね。」

マリア「裏ですか」

お熊さんは胸板もとい胸元から携帯よりも無機質な端末を取りだした。

お熊「チャンネルゼロオープン。家政婦派遣協会秘密調査部へ緊急連絡。品物は宅配便で届けられてるの集荷ポイントを特定してちょうだい番号は……」

マリア「秘密調査部なんてものがあるんですか」

お熊「だからCIAの下請けもやってるんだってば」

マリア「しらなかったですわ」

それから五分後…

『特定完了。集荷地点は広尾三丁目○○番地のコンビニと判明。』

マリア「秘密調査部は有能だなあ」

『なおコンビニの店員を裏へ連れていき締めあげて白状させたところ。』

マリア「有能な上に乱暴だ」

『集荷の発信者は金髪に黒のメッシュが入った小柄な白人女性とのこと』

マリア「えっ!」

お熊「ええっ!?」

ビンセント「マシュマロが!?馬鹿な!そんなはずはないなぜ彼女が自分を誘拐した犯人に協力するんだ!」

お熊「……誘拐じゃないのかも」

ビンセント「……」

お熊「奥様の身柄確保が最優先のようね」

マリア「探すべき相手が分かっているなら任せてください」

お熊「どうするの?」

マリアが口笛を吹くと何処からか一匹の虫が飛んできた。ピタッとマリアの頭にとまった。

腕を伸ばすと手の甲まで移動していく。

マリア「こないだ飼い始めたペットのセバスチャンです。」

黒光りするそれはいわゆる……ゴキブリだ。

ビンセント「?!」

お熊「ああその子の仲間ならどこにでもいるものね」

ビンセント「ななな?!」

マリア「じょうじじょじじょじ」

ゴキブリに話しかけると、羽をはばたかせてとんでいった。

お熊「ゴキブリと話せるの?」

マリア「知り合いにコツを習いまして。」

ビンセント「……」

日本が不思議の国だとは聞いていたがこんなわけの分からないところだったとは!

っと、社長が呆然とするヒマもなくあっというまにゴキブリ連絡網から返答があり、誘拐された奥さまが居るというホテルへと向かったのだった。
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