ー日常ー街の住人達【5】

ーホテル:レストラン・バーー

グラスに入った血のように赤いワインをクッと一息に飲み干してビンセントは続ける。

ビンセント「とにかく男子学生のマドンナキャンパスの女王に結婚を申し込んでOkしてもらった。時にはこれで人生の運を全部使い果たしたと思ったものさ同窓の男たちにはずいぶん恨まれたしね。理想の女性を妻にしてるんだ。ひとり占めにしようなんて考えたら罰が当たるよ。」

マリア「それで奥様が何をしても許してらっしゃるわけ」

ビンセント「だからもちろん僕は浮気なんかしたことない。だが目の前にもう一人理想の女(ひと)が現れたとしたら……心を動かされるのも仕方ないことだと思わないか」

さすがはアメリカ人というか、そっと肩に手を回してきた。

マリア「ッ……」

振り払おうかと思った瞬間

「ビンセント様、お荷物が届いていますが」

ビンセント「え?」

マリア「ホッ…」

ビンセント「なんだ間の悪い……?!」

ブッブッ言いながら荷物の封を解いて箱を開けると、中には生臭い塊、肉塊が入っていた。

マリア「わっ、なんですこれは!?」

ビンセント「手紙が……」

【奥さんの身体の一部だ。野菜丼の日本におけるチェーン展開を無期限に延期しなければ奥さんはさらに細かく切り刻まれることになる。】

マリア「脅迫状!!」

お熊「おマリちゃん」

マリア「お熊さん!いてくれたんですね!」

お熊「あなたが逃げ出さないか見張ってたの」

マリア「アアーソレハドウモーゴシンセツニー」

蟀谷に怒りマークを浮かべつつマリアは礼を言った。

お熊「それより社長さんもこちらの個室へ!」

三人で急いでレストランを出てホテルの一室に駆け込んだ。

マリア「こんなことをしそうな相手に心当たりはありますか!」

酔いも色気もさめたりか顔面蒼白でビンセントはいった。

「いや…三か月前、妻と一緒に日本にやってきてから僕は仕事ばかりで、妻はスポーツジムで知り合ったテニスのコーチとよろしくやっていたようで、こんなテロリストみたいな真似をする危険人物との接点はなかったと思うが……」

マリア「だとすると……」

お熊「んん?」

妙な声を出したお熊さんの方へ向くと、小型のレンズみたいなものでさっきの肉塊を見ていた。

マリア「どうかしましたか?」

お熊「これは人間の組織じゃありませんね。なんだか豚肉みたいに見えるけど」

「「豚肉?!」」
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